“不測”が平常化するサプライチェーン、マイクロソフトが示す「同じ数」「同じ場」の価値製造業のデジタル調達戦略セミナーレポート

MONOistはライブ配信セミナー「半導体不足・部材高騰を乗り切る製造業のデジタル調達戦略」を開催。本稿では日本マイクロソフトによる「データの活用とコラボレーションで共創する強靭なサプライチェーンとは」の内容をお伝えする。

» 2022年10月11日 10時00分 公開
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 MONOistは2022年9月26日、オンラインでライブ配信セミナー「半導体不足・部材高騰を乗り切る製造業のデジタル調達戦略」を開催した。同セミナーでは安定した生産、調達業務を実現するためのさまざまな技術やソリューションを紹介している。

 本稿では日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 ビジネスアプリケーション統括本部 ビジネスソリューション第三技術本部 Technical Specialistの梅津暁氏が講演した「データの活用とコラボレーションで共創する強靭なサプライチェーンとは」の内容をお伝えする。

部門間調整が煩雑で、柔軟性がないPSI計画

photo 日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 ビジネスアプリケーション統括本部 ビジネスソリューション第三技術本部 Technical Specialistの梅津暁氏

 コロナ禍やそれに伴うモノ不足、各種部材の高騰など、製造業を取り巻く変動は激しさを増している。製造業が安定した生産活動を行うためには、こうした不測の事態に対し、より俊敏に柔軟に対応していくことが求められている。そのためには、生産活動に関わる複数部門の意思を素早くすり合わせ、さまざまな判断を下していく必要がある。しかし、これらを推進するためのPSI(Product、Sales、Inventory)計画は、各部署の思惑がぶつかり合い、円滑な判断が下せていないケースが多いのが現状だ。

 例えば、生産管理担当者は原材料在庫やラインキャパシティーの状況を優先的に考えているが、販売管理担当者は緊急受注の対応や機会損失のリスクなどについて懸念している。一方、在庫管理担当者は在庫の最適化をどうしようかと考え、調達管理担当者は仕入れ先との調整について頭を悩ませている。こうしたそれぞれの思惑を一致させていくことは日常の中でも難作業の1つだといえるだろう。

 問題になるパターンとしては、具体的には、以下のようなものがあるという。

  • 部門ごとに異なる視点でPSIを管理しており、俯瞰(ふかん)的に見ることができない
  • PSIの数字を恣意(しい)的に変更するなど、システム外での管理が発生する
  • 必要な情報が分散している
  • 情報のタイムスタンプが統一されていない
  • システムが統一されていないのでリアルタイムに見ることができない
  • 計画見直しサイクルが最短で週次のため急な需要変動に対応できない
  • 計画変更後の部門間調整に時間がかかる
  • 計画変更の履歴が取れておらず、知見が生かされない
  • 原材料調達で仕入れ先と必要な情報が共有できていない
  • 2次受け、3次受けまでサプライチェーンが可視化できない

 梅津氏は「PSIを管轄する部署がそれぞれ違うため、各計画の数値はその部署の思惑で作られます。そのためPSI計画を一括で管理することができず、情報がサイロ化し急激な需要の変化への対応が難しいという課題が生まれます。これを解決するには、PSI計画を一元化し、誰もが同じ数字を見て議論ができる素地を作ることが必要だと考えます」と述べている。

同じツールで同じ情報を基に柔軟で素早い判断を

 こうした課題を解決するために、日本マイクロソフトが具体的なアプリケーションとして提案するのが「コラボ型PSI管理アプリケーション」である。コラボ型PSI管理アプリケーションは、関わる部署のメンバーが「同じ数字」を「同じ場所」で見て検証しながら意思決定を加速させるアプリケーションである。

 梅津氏は「『同じ数字』が指すのは各部門固有の数値ではなく、全員が共通の数字を見て判断できるようにするということです。また、そうした環境を作るということを意味しています。これらのデータ作りは各部署の思惑が入るような形ではなく、システムが自動で行います。これらの仕組みとともに、オンライン会議やチャットなどを通じて、バーチャルですが、一堂に会して同じ場でさまざまな対応が進められるようにしていることもポイントです」と述べる。

 セミナーでは、コラボ型PSI管理アプリケーションを活用し需要変動に即応するデモンストレーションを披露した。コラボレーションツール上で在庫数がマイナスになるとアラートが上がり、その対応を、在庫やラインのキャパシティーを確認しながら、簡易シミュレーションを行い、対応策を示すという流れだ。

photo 図1 コラボ型PSI管理アプリケーションのデモ画面[クリックで拡大] 出所:日本マイクロソフト

 具体的には、デモの流れは以下のような形で行った。

1.PSI計画の品目Aにおいて在庫が足りない状況が予想され、そのアラートが発報される(図1、黄色ハイライト部分)

2.その要因として、10月4日の販売計画が10から30に急増していることが確認できた

3.緊急受注が入ったことが確認できたため、チャットで問い合わせると同時に在庫をマイナスとしないための対応の検討を開始

4.「PSI計画シミュレーション」により、10月3日の生産数を20増やして30とすることで、在庫の適正化が図れるということが分かった(図2、赤丸部分)

5.生産数を増やすために必要な部材と数量の確認を部品表情報から同じシステム上で参照(図2、青丸部分)

6.これらを確認し問題ないことをチャットで報告し変動対応を完了

photo 図2 PSI計画シミュレーションのデモ画面[クリックで拡大] 出所:日本マイクロソフト

 梅津氏は「同じツールで同じシミュレーション結果を共有して変動に対応することですれ違いや無駄な調整が不要になります」と価値について語っている。

柔軟性を支えるマイクロソフトの豊富なツール群

 こうした複雑な操作を簡単に包括的に行えるのは、これらを支えるマイクロソフトの豊富なテクノロジー群があるためだ。コラボ型PSI管理アプリケーションでは、コラボレーションツールの「Microsoft Teams」、カスタムアプリを簡単に構築できるローコードプラットフォーム「Power Apps」、基幹およびSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションである「Dynamics 365 Finance」「Dynamics 365 Supply Chain Management」、BIツールである「Power BI」などを活用して、一連のソリューションを実現している。

 具体的にはTeamsのダッシュボードやチャットなどを情報共有および議論の場とし、各アプリケーションの入口と位置付ける。そこから、Power Appsで作成した簡易シミュレーションを活用したり、データの更新を行ったり、他システムからの情報共有を行ったりする。さらに、Dynamics 365 FinanceおよびDynamics 365 Supply Chain Managementで詳細なシミュレーションや、仕入れ先との相互連絡を行う。また、これらのデータを継続的に蓄積し、知見として活用できるようにする。Power BIでは、こうした一連の情報を可視化し、より効果的な形で、ダッシュボードに反映する。

 梅津氏は「調達に関するさまざまな課題に対し、それらに対応するさまざまなテクノロジー群を抱えていることはマイクロソフトの強みです」と訴える。

特定ポイントに適正在庫を持つDDMRPの考えを導入

 マイクロソフトではこれらのテクノロジー群に加え、新たな技術や手法を続々と取り入れ、調達やサプライチェーンに対するさらなる課題解決を推進していく方針だ。その1つとして、SCMシステムである「Dynamics 365 Supply Chain Management」の新機能として取り入れる予定なのが「DDMRP(Demand Driven Material Requirements Planning)」である。

 DDMRPは、グローバルに広がる調達先によるリードタイムの長期化や、激しい需要変動、在庫の適正量把握ができずに在庫切れや在庫過多が起こる問題など、現在のMRPが抱える課題を解決するための考え方だ。サプライチェーンの中で特定のポイントに在庫のバッファーを置き、それを監視しながら補充していくことで、急な変動に対してもある程度吸収できる対応力を備えることができる。また、バッファーの変動を常に管理しておくことで、異常の把握などもより俊敏に行えるようになる。

 梅津氏は「このDDMRPは非常に複雑な管理が必要だが、システムに組み込むことで、サプライチェーンの中で在庫を持つべきポイントを特定し、迅速な受注対応が可能となる。また、データに基づいて適正なバッファーレベルを設定できる他、予想される市場変化に対してバッファーの水準を自動で調整できる。さらに変動に応じた計画オーダーの作成や優先順位付けなども行える。製造業だけでなく物流業、小売業など幅広い業種で活用できる」と価値について訴えている。このDDMRPの機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementのマスタープラン機能への追加となり、既存ライセンス費用の中での使用が可能だという。

photo 図3 DDMRPのデモ画面[クリックで拡大] 出所:日本マイクロソフト

グローバル化で全てを予測するのは不可能な時代

 サプライチェーンがグローバル化し、さらに広がりを見せる中で、世界中のあらゆる事象が、モノづくりに影響を与えるようになってきている。新型コロナウイルス感染症のような感染症だけでなく、地政学的なリスク、災害など、全世界を見れば、いつもどこかで何かが起こっているのが当たり前の状況だ。これらの影響を受け止めなければならないことを考えると、全てを予測して準備することがさらに難しくなっていくことは明らかだ。

 これらに対応していくためには、起こる事象に対して、俊敏で柔軟に対応していく体制を作るしかない。そのためには、情報を一元的に把握して、異変をより素早く把握し、それを関係部署で共有し、意思決定を行い、対応を実行できる仕組みが求められている。マイクロソフトのコラボ型PSI管理アプリケーションはこうした製造業の取り巻く環境の変化にいち早く対応したものだといえる。PSI計画の硬直化に悩む製造業にとっては、豊富なテクノロジー群に支えられ、サプライチェーンの高度化に取り組むマイクロソフトは良い相談先となることだろう。

今回の講演のウェビナーを視聴したい方はこちら

https://aka.ms/d365-scm-monoist

日本マイクロソフトでは、今回の梅津氏の講演「データの活用とコラボレーションで共創する強靭なサプライチェーンとは」の内容をウェビナーとしても公開しています。ご関心がある方はぜひ、こちらからご覧ください。

登録サイト:https://aka.ms/d365-scm-monoist


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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月10日

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