デジタルで“品質”を再定義、細分化し複雑化する製品開発に対応せよ品質管理

Eコマースの発展などで顧客の要求が細分化し製品開発がより複雑になったことで、製造業の品質問題が頻発している。これまで品質管理を支えてきた熟練技術者の退職も進む中で、品質問題を解決するにはデジタル技術の導入が不可欠だ。PwCコンサルティングの「Quality Digital Transformation」は、先進のデジタル技術により、製造業の品質問題の発見や早期対応を強力に支援する。

» 2020年12月14日 10時00分 公開
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 製造業の品質管理は、今、非常に厳しい状況におかれている。

 Eコマースの発展などにより、コンシューマー向け製品をはじめ、顧客の要求は細分化している。製造業各社は、細分化されたニーズに応えるため、少量多品種生産、オプション展開など、さまざまな取り組みを進めているが、製品開発がより複雑化した結果、品質問題もまた複雑化し、原因を特定することが難しくなっている。

 加えて、市場は拡大化、グローバル化しており、世界各地で問題は発生する。文化や気候が違えば、使われ方や環境も異なり、想定した性能を発揮できなかったり、予想外の不具合につながったりするケースもある。そういった多種多様な状況の中で、市場で発生している問題を把握し、早期に対応することは非常に困難だ。

 一方、これまでの品質管理は、熟練技術者の知見や技術、現場の業務オペレーションの継続的な改善によって支えられてきたのが実情だ。熟練技術者の退職に伴い、長年の経験によるノウハウをいかに継承するか、いかにスキルを平準化するかということは、近年大きな問題となっている。従来の品質管理は、限界に達しつつあると言わざるを得ない。

デジタルで品質を再定義する「Quality Digital Transformation」

 そこで期待されるのがデジタル技術の導入だ。PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)が開発した品質保証/品質管理デジタル化ソリューション「Quality Digital Transformation」には、製造業の品質問題の発見、早期対応を強力に支援してくれる仕組みが用意されている。

 PwCは、世界155カ国に及ぶプロフェッショナルサービスファームのグローバルネットワークで、コンサルティング、監査、ディールアドバイザリー、税務、法務などを網羅する総合力が強みだ。中でも、国内に現在約3000人のコンサルタントが在籍しているPwCコンサルティングは、日本の主力産業である製造業の課題解決に長年取り組んできた。今回、同社がQuality Digital Transformationを開発した背景には、製造業でのコンサルティング経験から見いだした、製造業の品質管理に対する課題認識がある。

 先述した通り、問題の発見や原因の特定など、熟練技術者の経験や知見に依存するところが大きいのが品質管理における課題の1つだ。言い換えれば、経験の浅い技術者は、重大な問題を見逃してしまう可能性がある。

 また国内製造業の情報伝達、蓄積の手段は、いまだ紙、メール、Excelが中心。特に文章で書かれている不具合報告などは、デジタル化の大前提である「データ」として扱いにくく、情報伝達に食い違いも生じやすい。また、再現性がない、原因追求が難しいなど、担当者の恣意(しい)的な判断によって、本来エスカレーションすべき問題が止まってしまうこともある。

国内製造業の品質管理業務の現状 国内製造業の品質管理業務の現状(クリックで拡大)
PwCコンサルティンの新家谷功一氏 PwCコンサルティング BT Transformation Strategy ディレクターの新家谷功一氏

 属人性やデータの持ち方、管理方法などの要因により、問題が見過ごされたり、判断に時間がかかったりした結果、市場には品質に問題のある製品が流通し続けることになる。そして、発見、対応が遅れれば遅れるほど、巨大リコールにもつながってしまうのだ。実際、品質問題の解決には10カ月以上かかるとも言われているが、解決にかかる期間の分だけ不具合コストが増大し、経営を圧迫することになる。

 このような課題に対するPwCコンサルティングの答えとして、デジタルで品質を再定義するために開発されたのがQuality Digital Transformationだ。同社 BT Transformation Strategy ディレクターの新家谷功一氏は「問題の芽をいかに早期につみ取るか、品質情報をいかにして設計開発にフィードバックするかが求められていると思います。テキストマイニング、画像での検索などのテクノロジーが発達し、扱えるデータの種類が格段に増えた今だからこそ、提供できるソリューションです」と話す。

品質情報を一元化、見える化。熟練者ノウハウも生かせるソリューション

 では、Quality Digital Transformationの機能について見ていこう。

 Quality Digital Transformationは5つの機能から構成されている。1つ目の機能は、製品品質に関わる全データの収集・統合とダッシュボードによる見える化である。さまざまな切り口でデータを見える化し、問題の早期把握を助けてくれる機能だ。モバイルアプリも提供されており、サービス現場から、写真・動画も活用して情報を登録することもできる。自動翻訳機能が搭載されているため、現地語で登録されても、グローバルのどこで、どのような問題が発生しているのかが分かるというわけだ。

「Quality Digital Transformation」の5つの機能 「Quality Digital Transformation」の5つの機能(クリックで拡大)

 2つ目は、統計分析、テキストマイニングなどを活用したリコールや重大不具合などのリスクを検知する機能だ。クレームデータの統計分析や、AI(人工知能)によるテキスト分析をもとに、リスクの高い品質問題を自動的に知らせてくれる。フリーテキストで記載された不具合情報を、あらかじめ定義された辞書と照らし合わせることで、AIがリスクを判断して通知する。またクレームを製品のシリーズ、部位、生産時期などの切り口で集計し、それをもとに要因を分析することも可能だ。

 3つ目は、品質問題の原因分析と対策立案へのAI、データ解析技術の活用になる。AI・アナリティクスを活用したデータ解析により、過去のクレーム事例とマッチングし、原因分析と対策立案の高度化、効率化を支援してくれる。

PwCコンサルティングの大野元嗣氏 PwCコンサルティング BT Microsoft ディレクターの大野元嗣氏

 4つ目は、過去の不具合と対策方法のデジタルアーカイブによる問題解決力の継承である。対策完了案件を漏れなくデータベースに格納し、事業/部門を横断して展開することができる。PwCコンサルティング BT Microsoft ディレクターの大野元嗣氏は「懸案となっている熟練労働者の技術承継や過去の重大な問題への対応などに活用できる環境が整います」と説明する。

 5つ目は、品質データの活用と品質問題の解決力向上による顧客対応力の強化になる。顧客が所有している製品の把握と、稼働IoT(モノのインターネット)データの活用により、不具合に対して事前に対応することが可能だ。また、顧客の問い合わせから回答に至るまで、どこで時間がかかっているかが分かるため「顧客への応答速度を高めるとともに、顧客満足度の向上にもつなげられます」(大野氏)という。

非効率な作業を削減し、問題解決の期間を大幅短縮

 これらの機能を活用して効果を上げているユースケースを2つ紹介しよう。

 1つ目は品質保証業務の高度化だ。このユースケースでは、これまで顧客からの問い合わせについては、販売代理店や現地法人の手作業を経由して本社に報告した上で重要度を分析してから登録する体制をとっていた。原因特定や対策も人の経験や勘に頼っており、対策立案まで全社平均で15カ月かかっていたという。

 Quality Digital Transformationの導入後は、非効率な作業が削減され、解決までの期間は大幅に短縮されている。まず、顧客から問い合わせを受けた販売店は、現地法人を介さず、モバイルアプリで情報を直接登録。本社側でそのクレーム情報を確認して高リスク案件を検知できれば、早期に重大な問題として登録できる。ここまででも、従来と比べて期間が大きく短縮されていることが分かるだろう。対応についても、過去のクレーム事例とのマッチングや、対策のデジタルアーカイブによって短期間で行うことができ、都度事例を登録することでさらにナレッジは蓄積される。対応にかかった期間も把握できるので顧客対応力も改善する。

「Quality Digital Transformation」における品質保証業務の高度化の事例 「Quality Digital Transformation」における品質保証業務の高度化の事例(クリックで拡大)

 2つ目のユースケースは設計開発・製造への品質フィードバックで、主に統計分析機能を活用して、シリーズ化している製品の過去モデルの累積不具合コストを集計し、部位ごとに見える化している事例になる。新規の設計箇所や共通モジュールにおける急性/慢性不具合、改善/悪化の傾向などが見えるだけでなく、表示された金額をドリルダウンしていくと、何が起こっていたのか、何が変わったのかなどを探ることができ、品質保証から設計開発、製造に客観的なフィードバックが可能になる。新家谷氏は「設計のデザインレビューなどで活用すれば、本格的な設計開発プロセスに入る前段階から品質改善が行えます。客観的な指標を示すことにより、品質保証の担当者はこれまで以上に製品開発と品質の作り込みに貢献できると思います」と述べる。

「Quality Digital Transformation」における設計開発・製造への品質フィードバックの事例 「Quality Digital Transformation」における設計開発・製造への品質フィードバックの事例(クリックで拡大)

15カ月かかっていた不具合解決を2週間に短縮する事例も

 このように、Quality Digital Transformationは、製品品質に関わるあらゆるデータをデジタル基盤に収集・統合し、設計開発、製造、品質保証、カスタマーサービスなど幅広い領域における品質向上に直接的な恩恵をもたらす。2018年から本格的に展開しており、産業機械メーカーや部品メーカーを中心に、導入企業が広がっている。

 では実際にどのくらいの導入効果があったのだろうか。ある事例では、不具合解決までの期間が15カ月から2週間に短縮されたという。実に30分の1という期間短縮を成し遂げたことになる。「不具合の状態や種類にもよるので一概にここまでの短縮が可能なわけではありません。ただし、海外の拠点間において点在して発生するような不具合解決などにおいても、情報伝達のスマート化によっていち早く初動対応につなげることができるため、大幅に期間を圧縮できると考えています」(新家谷氏)。

 他にも、不具合の早期検知によりリコール台数が80%削減した例、不具合対策コストが売上高比で0.3%低減した例など、導入効果は大きい。

 ではQuality Digital Transformationの導入自体の期間はどうか。こういった品質管理の仕組みを一から導入すると、ベースの情報収集、データを使った分析、それぞれの仕組みの構築に半年〜1年以上かかるのが一般的だ。しかし、Quality Digital Transformationは、PoC(概念実証)で効果の見通しを確認してから、早ければ3カ月、おおむね半年程度で立ち上げられるという。

マイクロソフトの技術とPwCの強みの融合により経営課題を解決

 このQuality Digital Transformationには、日本マイクロソフトが提供するクラウドソリューションが活用されている。新家谷氏は「マイクロソフトからの技術提供と、われわれが考える新しいソリューションやビジネスモデルについて、双方で情報交換しながら協業させていただいています。Quality Digital Transformationも、非常にスムーズに立ち上げることができました」と強調する。

 データ収集を行うデータハブ機能は、日本マイクロソフトが提供するインテリジェントビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics 365」上で提供される代理店管理や品質問い合わせ業務に対応したビジネスソリューション「Annata 365 for Dynamics」をベースに実現した。また、製品モデル/地域別の問題発生傾向と不具合コストの見える化システムにはBIツールの「Power BI」、モバイルアプリには「Power Apps」を用いている。

「Quality Digital Transformation」のシステム構成 「Quality Digital Transformation」のシステム構成(クリックで拡大)

 さらに今後の機能拡張に向けて連携を深めていくことも検討している。「今や、品質管理においてサイバーセキュリティは切り離せない問題になっていると思います。今後は、日本マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム『Microsoft Azure』のセキュリティ運用ソリューション『Azure Sentinel』を活用するなどして、さらに機能を充実させていきたいと考えています」(新家谷氏)。また、品質は製造業だけの課題ではないことから、建設デベロッパーなどをはじめ業界を超えてQuality Digital Transformationを広げていきたいとしている。

 「戦略策定から実行まで(Strategy Through Execution)」を掲げる、PwCコンサルティング。大野氏は「当社は、戦略策定と実行を業務・ITの両面かつグローバルで支援できる数少ないファームであり、それがわれわれの強みであると自負しています。Quality Digital Transformationも、まさに戦略策定から実行までをカバーするソリューションなのです」と語る。

 細分化、拡大化する市場、複雑化する開発と品質問題、熟練技術者のノウハウの継承、スキルの平準化など、多くの課題を解決するためには、品質管理のデジタル化は避けては通れないだろう。Quality Digital Transformationに代表されるPwCコンサルティングのソリューションによって、さまざまな経営課題を解決し、さらなるモノづくりの進化に向かうことができるはずだ。

最新のデジタル技術で実現する製造業・品質管理領域のDXモデル

 日本の製造業はこれまで、熟練労働者の知見や技術、現場の業務オペレーションの改善力を土台にモノづくりを進化させてきた。

 しかし、情報網や物流の発展によるグローバル化、多様化する消費者ニーズへの対応、豊富な知見・技術を有する熟練労働者の引退などが重なり、モノづくりの現場はこれまでにない課題に直面している。

 このようなビジネス環境下、日本の製造業が今まで以上にものづくりを進化させ、継続的な品質改善を実現するためには、いかにしてグローバル市場で優位性を確保するか、また培ってきた品質改善の手法をどのように継承していくかについて、経営と現場が一体となって早急に答えを出す必要がある。

 PwCは、これら一連の経営課題の解決に向けて、最新のデジタル技術を活用した製造業・品質領域向けのデジタルトランスフォーメーション(DX)モデルと、さまざまな経営状況に適用可能なソリューションを提供している。その詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記のウェビナーを聴講することをお勧めする。

ウェビナー ウェビナー「最新のデジタル技術で実現する、製造業・品質管理領域の新たなオペレーションモデル」
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