日立製作所は、「国際物流総合展2022」において、同社のロボット関連ソリューションを活用したケースピッキングとピースピッキングのデモンストレーションを披露した。
日立製作所(以下、日立)は、「国際物流総合展2022」(2022年9月13〜16日、東京ビッグサイト)において、同社のロボット関連ソリューションを活用したケースピッキングとピースピッキングのデモンストレーションを披露した。
まず、ケースピッキングのデモに登場したのは、小型・低床式のAGV(無人搬送車)「Racrew(ラックル)」と、2021年4月に日立グループに加わったKyoto Roboticsの3Dビジョンである。物流倉庫への入庫をイメージする形で、Racrew上のパレットに積載した段ボール箱をKyoto Roboticsの3Dビジョンで認識して産業用ロボットでケースピッキングして、コンベヤーへのデパレタイジングを行う。
段ボール箱のデパレタイジングを全て完了した後にRacrewはコンベヤーの搬出側へ移動し、今度は物流倉庫からの出庫をイメージする形で、コンベヤーの段ボール箱をケースピッキングしてKyoto Roboticsの3Dビジョンを用いてRacrew上のパレットへの正確なパレタイジングを行って見せた。「Kyoto Roboticsの3Dビジョンは、一定範囲内の大きさの段ボール箱であればマスターレスでデパレタイジングが可能であり、パレタイジングもティーチングレスで行えるなど、物流倉庫での自動化を進める上での省力化に貢献できる」(日立の説明員)という。
また、ケースピッキングのデモでは、コンベヤーの上層部にもRacrewを配置しており、エレベーターなどとの連携による物流倉庫内での空間の有効活用も想定していた。
一方のピースピッキングでは、日立製作所の大みか事業所(茨城県日立市)で開発を進めてきた「AIROBO」を用いて、ドラッグストアの物流倉庫から各店舗に配送するコンテナに商品を効率良く混載するデモンストレーションを行った。
AIROBOは、箱やボトル、袋といった商品の形状を事前登録が不要なマスターレスで画像認識した上で、独自の軌道計画技術を基に周囲との衝突を起こさないようなピッキング動作を行えるようにロボットの6軸アームの動きを制御しながら、コンテナへの混載、整列、段積みを行う。
また、さまざまな形状の商品を安定して把持するためのロボットハンドも新たに開発した。把持機構に加えて、柔軟物用、固形物用、ずらし把持用という3種類の吸着パッドを備えている。例えば、大きめの菓子箱は固形物用吸着パッドと把持機構、ペットボトルは把持機構のみ、袋入りの即席めんは柔軟物用吸着パッドといったような使い分けを行ってコンテナへの混載を行う。
これまで日立のロボットソリューションは、構成要素である各プロダクトよりもロボットSIerとしてのライン構築力などを前面に押し出す形で提案することが多かった。「導入実績を積み上げてきたRacrewだけでなく、Kyoto Roboticsが加わり、独自開発のロボットハンドを活用するAIROBOを投入するなど、ロボット関連プロダクトのラインアップも充実してきた。今後は、これらのプロダクトの強みを積極的に生かしていきたい」(同説明員)としている。
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