コードレスクリーナーは、“流体系”のファンおよびシステム抵抗、“駆動系”のモーターおよびバッテリーから構成される。
ファンおよびシステム抵抗の定式化は連載第5回(電気回路に置き換える)と同等の手順により、図5のように定式化できる。ここでは分かりやすさを優先し、ファン特性は一次式(直線)で近似し、効率は1としている。ファン特性は流量、圧力、回転数で決まる。ファン特性とシステム抵抗の交点が運転点となる。ここで、定格回転数でファンが回っている場合を考えると、流量ゼロのときの圧力はb、圧力ゼロのときの流量はaとなる。ファンが最大パワーを発揮するのは圧力b/2、流量a/2のときなので、その際のパワーはab/4となる。
モーターおよびバッテリーの定式化は連載第9回(「ミニ四駆」のモデリング【その1】)で説明した方法で、図6のように表現できる。ファンの場合と同様、トルクゼロのときの回転数はE/KE、回転数ゼロのときのトルクはEKT/(R+RB)となるので、モーターが最大パワーを発揮するのは、回転数E/2KE、トルクEKT/2(R+RB)の場合で、その際のパワーはE2/4(R+RB)となる。
図5および図6の定式化から、圧力、流量、回転数、トルク、電流に関する以下の式が求まる(式1〜4)。
しかし、これだけでは5つの未知数に対して4つの方程式なので解くことができない。そこで、ファンのパワー(圧力と流量の掛け算)とモーターのパワー(トルクと回転数の掛け算)は等しいという以下の関係式を追加する(式5)。
以上を整理すると、コードレスクリーナーのモデリングは図7となる。ご覧の通り、未知数であるP、Q、T、N、Iの5つに対して、方程式も5つなので解を求めることができる。
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