Ansysは、マルチフィジックス解析ソフトウェアの最新版「Ansys 2022 R2」を発表した。予測精度の高い解析、AIやMLの最適化、スケーラブルなプラットフォームを提供する。
Ansysは2022年7月28日、マルチフィジックス解析ソフトウェアの最新版「Ansys 2022 R2」を発表した。予測精度の高い解析、AI(人工知能)やML(機械学習)の最適化、スケーラブルなプラットフォームを提供する。
材料選択や材料特性を分析するソフトウェア「Ansys Granta」では、持続可能性に関する最新のデータがシミュレーションとCADツール内に示される。そのため、設計の初期段階で材料の持続可能性を考慮できる。
光学分野では、光学シミュレーションソフトウェア「Ansys Speos」の新機能により、レンズの背面を自動作成できるようになった。自動車のヘッドライト設計者が特定のビームパターンを持つレンズを設計したり、一般の照明業界で光害の制御に活用したりできる。
電気機械デバイス解析ソフトウェア「Ansys Maxwell」は「Ansys Twin Builder」で使用できる、予測精度の高い誘導機用の次数低減モデル(ROM)を生成する。Ansys Twin Builderはモデルベース開発とデジタルツインを構築するためのプラットフォームで、Ansysは東芝と共同でAnsys Twin Builderのシステムシミュレーション技術を用いて自動車用電機システムの設計、検証用のツールキット「Accu-ROM」を開発した。同キットは自動車用半導体の検証時間を約90%短縮する。
2022 R2では、Ansys Twin Builderのアップデートにより、電動パワーステアリングのシミュレーションにAccu-ROMツールキットを追加。機械コンポーネントの両方について、高精度、高速なシステムシミュレーションが可能になった。
自動車衝突試験や電子機器落下試験などに用いられる「Ansys LS-DYNA」には、広範囲のマクロスケールの落下試験において、プリント基板内のソルダーボール疲労破壊の予知に使用するマルチスケール協調シミュレーション機能が加わった。
また、2022 R2は、企業や業界がそれぞれの特性に応じたワークフローを構築し、より使いやすくなるよう機能を拡張できる。例えば、磁気ラッチ連成ワークフローは、タブレットや電子書籍リーダーに取り付けられたアクササリーの機能を改善する。ノイズ、振動およびハーネスワークフローは、物理学関連のソリューションを結合して、電磁界、熱、機械応力、音、駆動サイクル全体を解析する電気機械のシミュレーションを提供する。
複雑で大規模なシミュレーションにおいても、Ansys 2022 R2は高い性能を発揮する。Fluids製品ラインでは、さらに効率的で持続性のある数値流体力学シミュレーションを実行し、流体解析ソフトウェア「Ansys Fluent」でLive-GXソルバーを用いると、6個のハイエンドGPUが2000個以上のCPUと同等の性能を示した。
Ansys Speosの光学ソルバーは、単独のGPUが32コアのCPUマシンより最大8倍速く、20個のGPUが5000個のCPUコアと同等の性能を持つ。Speosの新機能により、光線数を増やしてシミュレーションの予測精度を向上し、夜間の天候条件を踏まえた迷光の影響をシミュレートできる。
新しい半導体関連製品も2つ追加された。「Ansys Totem-SC」と「Ansys PathFinder-SC」は、パワーインテグリティ、静電放電の信頼性をサインオフする。どちらもクラウド用に最適化されたプラットフォーム「Ansys SeaScape」を使用し、大規模設計においても高速処理と大容量を提供する。同社で試験したところ、大規模シミュレーションでメモリを削減しつつ、従来の6倍速く計算できた。
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