矢面さんがまた今日も印出さんを訪ねてきました。
印出さん、こんにちは。
矢面さん、こんにちは。引き続き頑張っているの?
前回印出さんに「危機感が強い人がけん引すべき」と言われちゃったんで、いろいろな人を巻き込みながら調整、調整の毎日ですよ。まあ、理解してくれる人も徐々にではあるけれど増えてきているので、やりがいはありますけどね。
あら、よかったわね。それで今日はどうしたの?
それなんですよ。最近カーボンニュートラルが注目されているじゃないですか。日本政府も2050年カーボンニュートラル宣言とかしちゃいましたし。それで、社長が『カーボンニュートラルをわが社でも進めなあかん』と言い出しまして、スマートファクトリープロジェクトもどう貢献するのかと迫られているんですよ。そもそもスマートファクトリーとカーボンニュートラルって別問題ですよね?
あら、そうとも言い切れないわよ。カーボンニュートラル化を実現するには、再生可能エネルギーなど温室効果ガスの排出原単位の低いエネルギー源への切り替えや植林や貯蓄などで大気中のCO2の量を直接削減するネガティブエミッションへの取り組みが注目されているわね。ただ、これらのエネルギー源の切り替えなどの前にまず使うエネルギーを減らす「省エネ」を進めないと到底実現できるものではないわ。この省エネを考えた場合、スマートファクトリーは大きく貢献するものよ。
どういうことですか。
スマートファクトリーは先進デジタル技術を用いて従来にはない圧倒的な生産性の向上や付加価値の創出を工場にもたらすものよね。生産性を向上するということは同じ結果をより少ない活動で実現するということになるので、活動量を減らすことに貢献できて、使用するエネルギーが減るということにならないかしら。
なるほど。確かにそうですね。つまり、従来工場で進めてきた改善活動はそのまま省エネ活動にも役立つし、スマートファクトリーを進めてさらにそれが進めばそれはそのままカーボンニュートラル化にも貢献するということですね。
その通りよ。
工場での省エネというと、LED電球の採用や各種省エネ機器の導入などが注目されていますが、「効率的な生産作業を行う」ということも重要なポイントとなります。スマートファクトリー化を進め、生産効率を高めることができれば、それが温室効果ガス排出量の削減にも直接貢献することになります。こうした現場での改善の取り組みは従来の製造現場でも継続的に行われてきたことです。その中で従来は「生産性」としてのみの捉え方でしたが、合わせて温室効果ガス排出量(CO2排出量)に換算して捉え直すことで、カーボンニュートラル化についても貢献度合いを示すことができます。
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