設備が破損したり老朽化したり、対象となる製品の生産が終了してしまい設備の存在意義がなくなった場合は、廃棄処置をする必要があります。単純に廃棄する場合を設備滅却処分といいます。一方、対象とする製品の生産は継続しているのに破損や老朽化により使えなくなり代替の機械設備に変更したり、新たに追加投資して改造や修理を行って機能アップし再びよみがえらせたりするような処理を設備更新といいます。
いずれの場合でも、その設備の減価償却期間内に発生した場合は、処分時点で残存する償却費用分は消滅し、一般管理費の中の特別損失科目などに移して一括で原価配賦を行うことになります。
機械設備について、不具合の発生を想定した日常点検や定期点検、故障が発生した場合の修理や部品の交換を行うことを設備保全といいます。どのような機械設備でも新規に購入してからは、正常に動いている場合でも設備保全は実施されます。
万が一の場合を想定した設備保全を「予防保全」といい、故障が発生してからのメンテナンスを「事後保全」といいます。
不具合が発生してからの修理では、単なる修理費用の損失に止まらず、修理期間中に機械設備が停止することによってライン全体の生産が停止する損害も極めて大きくなります。だからこそ、故障を起こさないための予防保全に重きを置き、そのための所要費用の予算化を事前に行って管理します。予算項目としては、設備予防保全点検費用、主要な消耗部品の定期交換部品購入費用、故障発生時の修理費用、設備清掃や殺菌費用などがあります。
機械設備の維持費用、いわゆるランニングコストは、機械設備や建物を維持するために必要となるコストのことをいいます。これは建物や機械設備が完成し、稼働し始めてから廃止されるようになるまでの期間にかかるコストのことを指します。ランニングコストに計上されるのは、光熱費などのエネルギー費、交換部品費や消耗品費、保守費など定期的に必要となるコストです。
機械設備に関係する費用を製品個々の原価に反映させる手続きは複雑で分かりにくいものです。そこで、機械設備のランニングコストという見方をして、原価予算に反映させるやり方が多く用いられます。交換部品費の削減策は、標準化、共通化、長寿命化などがあります。保守費についての削減策は、自己診断機能の付加、メンテナンスフリーの採用、信頼性の向上が挙げられます。
減価償却費や保守管理費、保険料などは、機械設備に特定して発生する費用ですが、それ以外の費用として、電気、水、エアー、ガスなどの機械設備に付帯するエネルギーの費用のようにどの設備にどれだけの量といった明確な振り分けができない費用があります。
発生する費用を全て製品個別に割り振って原価管理を行う個別原価計算方式では、これらの費用については、機械設備の購入仕様で定めた標準的な使用条件での使用量や、現場での使用実績に基づく統計的なデータを用いて製造職場全体での使用量を各設備に割り振ります。その設備で生産される製品へ、生産量や稼働時間などの比率に応じた配分を行った上で、各製品原価の間接経費の中の品目として計上を行います。
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