また、製品開発におけるバーチャルツインから少し離れ、企業が掲げるサステナビリティの目標、サステナビリティKPI(重要業績評価指標)に目を向けてみると、経営層が策定する企業のビジネスモデルと非常に深い関わり合いがあるという。「例えば、製品の製造をどこで行うのか、部品を海外から調達するのかなど、ビジネスに関する意思決定がサステナビリティKPIにも大きく影響する。こうした関係性を把握しないまま意思決定をしている経営層も少なくない」とカーデット氏は指摘する。
このような状況に対し、ダッソー・システムズでは米国や欧州の企業、国際的な団体/組織などと連携し、企業の経営層や責任者が意思決定をする際に、その判断が自社のサステナビリティ目標(KPI)にどのような影響をもたらすのかを評価できる「エンタープライズ・バーチャルツイン」の開発を進めている。
ダッソー・システムズは、企業の経営層や責任者が意思決定をする際に、その判断が自社のサステナビリティ目標(KPI)にどのような影響をもたらすのかを評価できる「エンタープライズ・バーチャルツイン」を開発する[クリックで拡大] 出所:ダッソー・システムズエンタープライズ・バーチャルツインは、企業が目指すべきビジネス戦略の下には、一連のビジネスプロセスが存在し、各ビジネスプロセスを推進するには組織が必要で、組織に集まる異なるスキル、知識、経験を持つ人たちの生産性を高めるにはITの活用が必要であるとの考えから、「ビジネス戦略層」「ビジネスプロセス層」「組織層」「IT層」の4つので構成される。これにより、企業活動をバーチャル環境上に再現する。
そして、このコンセントに基づき、ダッソー・システムズでは現在、ビジネス戦略層、ビジネスプロセス層、IT層の3つについて関連するテクノロジーと手法を確立しているという(組織層に関しては開発中とのこと)。「これらを活用することで、経営層は自身の意思決定によって、3つの階層にどのような影響を与えるかをシミュレーション、評価することが可能になる」と、カーデット氏はエンタープライズ・バーチャルツインがもたらす可能性について説明する。
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