デジタルツインを実現するCAEの真価

非線形に入る前に、線形有限要素法について復習しておくいまさら聞けない 非線形構造解析入門(2)(4/5 ページ)

» 2022年07月04日 08時00分 公開

3.全体剛性マトリクスの構築

 全体剛性マトリクスは、簡単にいえば“各要素の剛性を足し合わせる”ことで構築できます。

 例えば、先ほどの2次元四辺形1次要素において、2要素のモデルの場合には、以下の2つの剛性マトリクスが存在します。

全体剛性マトリクスの構築 図4 全体剛性マトリクスの構築[クリックで拡大]
式18 式18

 この2つのマトリクスを合成して、全体剛性マトリクスを構築し、変位ベクトル、荷重ベクトルとともに表現すると、以下のような式になります。

式19 式19[クリックで拡大]

 ここで、0の箇所は両方の要素からの“寄与がない”部分、足し算で表現されている箇所は両方の要素からの“寄与がある”部分となります。

4.境界条件の適用

 これで問題を解く準備がほぼできましたが、まだ少し情報が足りていません。その情報というのが「境界条件」です。境界条件は、多くの解析ソフトのユーザーインタフェース上で「拘束条件」や「荷重条件」と表現されていると思います。

 図5のように左辺の2節点を拘束し、右辺の2節点をある任意の荷重fで載荷することを考えるとき、これらの数値を式に組み込むと式20のようになります。なお、この際、荷重が載荷されていない(外力がかかっていない)節点の自由度に対しては、0を代入します。

境界条件の適用 図5 境界条件の適用[クリックで拡大]
式20 式20

 この後に、変位を0とした箇所が寄与する行列を削除します。それによって、未知数の数と式の数が合うようになります。ただし、一般的に多くの商用ソフトでは、そのような教科書的な処理ではなく、別の形で処理していることが多いようです(詳しくは割愛します)。

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