Armが不滅のGPU「イモータリス」を投入、民生機器向けIPセット「TCS22」も進化組み込み開発ニュース(2/2 ページ)

» 2022年06月30日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]
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「TCS22」は機械学習処理性能が大幅に向上

 TCS22のCPUについては、TCS21の以前から“フラグシップ”として展開してきた「Cortex-Xシリーズ」で最新となる「Cortex-X3」を投入する。TCS21の「Cortex-X2」と比べて、スマートフォンで25%、ノートPC(いわゆるWindows on Arm)で34%のピーク性能向上を実現している。一方、従来の「Cortex-Aシリーズ」についてはbig.LITTLE構成における高性能処理を担うbigコアについて、TCS21の「Cortex-A710」を改良した「Cortex-A715」を開発した。従来比でエネルギー効率は20%、処理性能は5%向上しており、最初のフラグシップCPUである「Cortex-X1」に匹敵する。

「TCS22」のCPUプロダクトのラインアップ 「TCS22」のCPUプロダクトのラインアップ[クリックで拡大] 出所:アーム
「Cortex-X3」の「Cortex-X2」と比べた性能向上 「Cortex-X3」の「Cortex-X2」と比べた性能向上[クリックで拡大] 出所:アーム

 また、TCS21で4年ぶりに投入したLITTLEコアの「Cortex-A510」については、処理性能を維持しながら消費電力を10%低減させた。複数コアから成るCPUクラスタを制御する「DSU-110」についても、サポートコア数を8から12に増やしている。Cortex-A510とDSU-110は別プロダクトにはせず、性能をそのままアップデートさせた格好だ。

 なお、TCS22は、TCS21と比べて機械学習処理性能が大幅に向上した。これは物体検知や超解像など各アプリケーションへの最適化と、メモリアクセスの向上、機械学習ライブラリの改善などを積み重ねて実現したもので、物体検知43%、超解像32%、物体分類30%、リアルタイム認識39%という性能向上を確認している。Armは、TCS22のキーワードとして掲げた“ビジュアル体験”について、グラフィックス処理性能だけでなく、MLなどを用いた画像認識性能も必要になるとしており、今後も性能向上が図られる見通しである。

「TCS22」の「TCS21」と比べた機械学習処理性能の向上 「TCS22」の「TCS21」と比べた機械学習処理性能の向上[クリックで拡大] 出所:アーム

 TCSについては、今後も毎年アップデートしていく方針だ。2023年発表の「TCS23」では次世代イモータリスの「Titan」と次世代Cortex-Xシリーズの「CXC23」が、2024年発表のTCS24」では次々世代イモータリスの「Krake」と次々世代Cortex-Xシリーズの「CXC24」が予定されている。

「TCS」のロードマップ 「TCS」のロードマップ。毎年アップデートしていく方針だ[クリックで拡大] 出所:アーム

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