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» 2022年06月20日 07時00分 公開

ランドリー(洗濯機)を題材に音振動の低次元化モデリングを考える1Dモデリングの勘所(8)(2/3 ページ)

[大富浩一/日本機械学会 設計研究会,MONOist]

振動数が変化する外力のモデリング

 外力の振動数が一様に変化する場合の表現方法について考える。“外力の振動数が一様に変化する”とは、「角加速度が一定値である」ということなので、位相をΦとすると、角加速度は、

式1 式1

と表現できる。ここに+のとき「昇速」、−のとき「減速」となり、εは昇降速の速さを表現する正の定数である。上式から、外力の角振動数および位相は、

式2 式2
式3 式3

となる。ここに、ωは初期状態の角振動数、αは位相角である。上記の知見を基に、脱水時回転槽の回転数変化を表現すると図6となる。すなわち、静止状態から、角加速度ε1、角速度ε1tで昇速、所定の回転数ω0で脱水、その後、角加速度−ε2、角速度ω0−ε2(t−t2)で減速する。ここで、時刻0からt1までが昇速、t1からt2までが一定回転、t2からt3までが減速区間である。各区間の外力は図6下部に示すように表現される。

脱水時回転槽の回転数変化の表現 図6 脱水時回転槽の回転数変化の表現[クリックで拡大]

粘弾性体(ゴム)のモデリング

 ゴムは、防振材料として使用されることが多い。これは良好な減衰特性を有するためであるが、一方で通常の金属材料とは異なり、モデリングが容易ではなく、さまざまな試みが行われている。すなわち、ゴムはいわゆる粘弾性体で、材料自体が剛性と減衰特性を有する。そこで、一般には図7に示すように複素数剛性で表現される。ここで、kが剛性に関するもので、ηが損失係数と呼ばれ、減衰に関するものである。また、粘弾性ばねの場合には、剛性も損失係数も周波数ωの関数となるため、図8のように定義される。

粘弾性ばねで構成される振動モデル 図7 粘弾性ばねで構成される振動モデル[クリックで拡大]
粘弾性ばねの定義 図8 粘弾性ばねの定義[クリックで拡大]

 粘弾性ばねのモデリング方法として、ばね要素と減衰要素を組み合わせた図9粘弾性ばねモデルが使用される。このように、2種類のばね要素、減衰要素、振動数を用いて、剛性と損失係数を表現できる。図9の剛性と損失係数を横軸に、振動数をとって示すと図10のようになる。実験などにより、ゴム材料の剛性、損失係数を把握し、これを表現するように2種類のばね要素と減衰要素の値を定義することになる。

ばね要素と減衰要素の組み合わせによる粘弾性ばねモデル 図9 ばね要素と減衰要素の組み合わせによる粘弾性ばねモデル[クリックで拡大]
粘弾性ばねのモデリング例 図10 粘弾性ばねのモデリング例[クリックで拡大]

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