なお本連載第70回で取り上げた、フィンランド・イノベーション基金(SITRA)が調整役を担う「欧州保健データスペースに向けた共同行動(TEHDAS)」(関連情報)では、2022年3月31日に「保健データ2次利用向けピアツーピア/越境パートナーシップに関するガイドライン」(関連情報)を公表している。本ガイドラインの中で、図5は、保健データ2次利用向け越境パートナーシップ設定のための主要6ステップを示したものである。
加えて、このガイドラインでは、越境パートナーシップを構築する場合の障壁として、以下のような課題を挙げている。
上記のうち、保健データ2次利用に関わる資金調達の課題については、TEHDASが、2022年4月1日に「EUにおける保健データ2次利用の財源と費用に関する予備調査」(関連情報、PDF)を公表している。図6は、保健データの1次利用(EHDS1)を受けた2次利用(EHDS2)におけるデータライフサイクル管理の持続可能性について検証するためのフレームワークを示している。
TEHDASの報告書では、データマネタイゼーションの観点から、「データ収集」「データアクセス」「データ利用」の3つのステージを設定している。資金調達に関わる分析対象として、EUレベルの各種研究開発支援プログラムのほか、国家レベルでは、フィンランド、オランダ、デンマークの事例を取り上げており、TEHDASプロジェクトの最終年となる2023年に最終報告書をとりまとめるとしている。
その他、TEHDASでは、「ケーススタディー:欧州の異なるガバナンスと保健データシステム」(2021年9月28日公開、関連情報)、「セマンティックハーモナイゼーション向けの適切な標準規格とデータモデルの特定」(2022年2月3日公開、関連情報)、「欧州ケーススタディーを通じた保健データ2次利用に関する報告書」(2022年2月28日公開、関連情報)、「EHDSにおける保健データ2次利用向けサービスの最小セットの選択肢」(2022年4月5日公開、関連情報)、「中央集権型システムと分散型システムの選択における国家およびEU研究者向けの個人レベルデータへのアクセスに関するステップの記述」(2022年4月6日公開、関連情報)などの研究成果を公表している。各テーマのドキュメントとも、2023年に最終報告書を公表する予定である。
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