造形物の厚みが増しても透明感を損なわない、3Dプリンタ用ピュアクリアインク:3Dプリンタニュース
ミマキエンジニアリングは、UV硬化インクジェット方式フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」で利用可能なピュアクリアインク「MH-110PCL」を発表した。販売開始は2022年5月からで、容量4.8リットルインクボトルの販売価格(税込み)は19万3600円。
ミマキエンジニアリングは2022年5月11日、UV硬化インクジェット方式フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」で利用可能なピュアクリアインク「MH-110PCL」を発表した。販売開始は同年5月からで、容量4.8l(リットル)インクボトルの販売価格(税込み)は19万3600円。
MH-110PCLは、従来のクリアインク「MH-100CL」で要望されていたクリアな造形物の黄色味を低減し、造形物の厚みが増してもガラスやアクリルのような透明感を再現できるのが特長である。
【左】ピュアクリアインク「MH-110PCL」(手前)と従来のクリアインク「MH-100CL」(奥)による造形サンプルの比較/【右】ピュアクリアインク「MH-110PCL」の造形サンプル[クリックで拡大] 出所:ミマキエンジニアリング
デザイナーや設計者の意図した通りのクリア表現が可能となるため、デザインモックアップ(試作)の確認や設計検証などでの活用が見込まれる。また、透明感のあるクリア表現が可能な強みを生かし、内部構造を確認する必要のある医療模型や建築模型の製作、3D CGデザイン/アート作品の造形などにも活用できる。
さらに、クリア表現だけでなく、カラーインク(シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック)を組み合わせたスケルトンカラー(色付きの透明)表現にも対応。1000万色以上のフルカラー造形を実現する3DUJ-553に、MH-110PCLのクリア表現とスケルトンカラー表現が加わることで、これまで以上に多彩な色合いやビジュアルを重視したデザインへの対応が可能になる。
プロダクトデザイン分野での試作用途をイメージした造形サンプル[クリックで拡大] 出所:ミマキエンジニアリング
MH-110PCLは、3DUJ-553専用のUV硬化インクで、初回搭載時はオプション品「OPT-J0510 PCL対応キット」の部品交換が必要になるという(同社のサービスマンが作業)。
ミマキエンジニアリングのUV硬化インクジェット方式フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」[クリックで拡大] 出所:ミマキエンジニアリング
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- コロナ禍で生まれた3Dプリンタ活用の流れが、デジタル製造を加速
コロナ禍で、あらためてその価値が再認識された3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリング。ニューノーマルの時代に向け、部品調達先や生産拠点の分散化の流れが加速していく中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、その活用に大きな期待が寄せられている。2021年以降その動きはさらに加速し、産業界におけるデジタル製造の発展を後押ししていくとみられる。
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。
- 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.