ロボットセキュリティの持つ3つの課題と、推進に必要な4つのポイント:ロボットセキュリティ最前線(3)(3/3 ページ)
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ロボットのセキュリティに関連する規格やガイドラインは世界的にみても現段階では非常に少ない。また、その多くのものは、セーフティやIoT、制御システムなどの中でロボットについて一部が言及されているにすぎず、本稿で既に言及しているようなロボットのセキュリティに特有な特徴や考慮点を踏まえた内容が体系的に整理されているとは言い難い。
そのような現状を踏まえ、筆者も参加しているRRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)では、2020年4月からロボットセキュリティ調査検討委員会を発足し、さまざまな取り組みを進めている。さまざまな業種、職種で構成される委員により、ロボットセキュリティの在り方や、対象とするリスク、対策上の課題などについて協議が続けられてきた。その成果物は「ロボットセキュリティ・ガイドライン」として、2022年6月に一般公開する予定である。コンセプトとしては「物理的な影響・要因も含めて考える」「クラウドも含めたシステム全体で考える」「ライフサイクル全体で考える」ことを指向しており、ロボットの実用化に向けてセキュリティの不安を抱えている事業者、関係者の方々にぜひ参考にしていただければ幸いである。
山崎治郎(やまざき じろう)
エンハンスザックス 代表取締役
1987年にアンガマンバス(ネットワンシステムズの前身)に入社。以来、大手民間企業、通信事業者のネットワー ク設計や構築に多数かかわる。2012〜2016年会津大学に招聘を受け「スマートグリッドのための情報基盤」の研究開発に従事。2020年、RRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)のロボットセキュリティ調査検討委員会の委員長に就任し、現在も活動中。2021年7月にネットワンシステムズを退職し2022年5月にエンハンスザックスを設立。
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≫連載「ロボットセキュリティ最前線」の目次
- 増えるロボットの活用領域、同時に高まるセキュリティの問題
人手不足やコロナ禍などにより、産業用ロボットやサービスロボットなど、ロボットの利用領域は急速に拡大している。一方でネットワーク化が進むこれらのロボットのセキュリティ対策については十分に検討されているとはいえない状況が続く。こうしたロボットセキュリティの最前線を取り上げる本連載。第1回となる今回は、ロボット市場全般の動向とセキュリティへの意識について解説する。
- ロボットをハッカーから守るセキュリティ対策のポイント
様々な機器がネットワークにつながるようになり、機器の生産性や利便性は大きく高まった。しかし同時にセキュリティの問題が生じ、様々なトラブルが散見されるようになったのも事実である。連載第1回目となる本稿では、急速にコネクテッド化が進む産業用ロボットに焦点を当てて、顕在化してきたセキュリティリスクと取りうる対策について紹介する。
- いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
- 製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
- ロボット活用拡大のボトルネック、ロボットインテグレーターの現実
あらゆる現場で労働人口不足などが深刻化する中、その解決策としてロボット活用への期待が高まっている。しかし、現実的にはロボットを現場で実装するロボットシステムインテグレーターが不足しており、ロボット活用の裾野が広がらない状況になっている。経済産業省 関東経済産業局がまとめた「ロボットシステムインテグレーターに関する調査結果」の内容をまとめた。
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様々な機器がネットワークにつながるようになり、機器の生産性や利便性は大きく高まった。しかし同時にセキュリティの問題が生じ、様々なトラブルが散見されるようになったのも事実である。連載第1回目となる本稿では、急速にコネクテッド化が進む産業用ロボットに焦点を当てて、顕在化してきたセキュリティリスクと取りうる対策について紹介する。
- スマート工場で見逃されている2大侵入ポイントとは?
スマート工場化が加速する一方で高まっているのがサイバー攻撃のリスクである。本連載ではトレンドマイクロがまとめた工場のスマート化に伴う新たなセキュリティリスクについての実証実験研究の結果を基に注意すべきセキュリティリスクを考察する。第1回では、工場の「スマート化」とは何かを定義するとともに、そこから見えたスマート工場特有の侵入経路について解説する。
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