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» 2022年03月31日 07時30分 公開

360度映像ビジネスを拡大へ、リコーがハードウェアとSaaSの組み合わせ強化製造業がサービス業となる日

リコーは2022年3月30日、360度カメラ「RICOH THETA」の新製品としてビジネス用途での活用を効率的に実現する「RICOH THETA X」の国内展開を発表。ソフトウェア、クラウドサービスを組み合わせた、ビジネス市場向けの「RICOH360」プラットフォーム事業を強化していく方針を示した。

[三島一孝,MONOist]

 リコーは2022年3月30日、360度カメラ「RICOH THETA」の新製品としてビジネス用途での活用を効率的に実現する「RICOH THETA X」の国内展開を発表。ソフトウェア、クラウドサービスを組み合わせた、ビジネス市場向けの「RICOH360」プラットフォーム事業を強化していく方針を示した。

photo 「RICOH THETA X」[クリックで拡大] 出所:リコー

360度映像のビジネス活用を加速

 リコーでは2013年に360度全天球を撮影できるカメラ「RICOH THETA」を製品化し、いち早く360度カメラ市場の拡大に取り組んできた。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの注目が高まった2016年頃まで順調に拡大が進んできたものの、その後ブームが収束したことで一時的に市場は低迷状態となった。しかし、ここ1〜2年でその様相がさらに変化してきたという。

photo リコー リコーフューチャーズビジネスユニット Smart Vision事業センター所長の大谷渉氏(右)と、同副所長の藤木仁氏(左)[クリックで拡大] 出所:リコー

 リコー リコーフューチャーズビジネスユニット Smart Vision事業センター所長の大谷渉氏は「ここ1〜2年はビジネスで360度カメラを活用する動きが広がっている。リコーでは当初から360度カメラをビジネスで使う提案を進めてきたが、360度画像の投稿枚数もここ数年は毎年2倍ペースで増えており、本格的に定着する動きになってきている」と手応えについて語っている。

 ビジネス用途での拡大をけん引しているのが不動産や建設業界である。部屋の見せたい部分を360度撮影することで、その場にいるような臨場感で物件を確認できたり、現場の状況を一元的に把握できたりすることが浸透してきたためだ。リコーではこれらのニーズに応えるために、ハードウェアとしての「RICOH THETA」だけでなく、デジタルサービスを合わせて展開。不動産向けでは「RICOH360 Tours」、建設現場向けでは「RICOH360 Projects」などのデジタルサービスを用意し、これらを組み合わせて提供している。今後もこれらの業界向けでの活用拡大を進めていく方針だ。

 大谷氏は「Smart Vision事業として目指しているのは、RICOH THETAとデジタルサービスによる『業界横断型360プラットフォーム』の構築だ。そのためにはハードウェアだけでなく、ソフトウェアとクラウドを組み合わせた『SaaS(Software as a Service)+ a BOX』型ビジネスとして成長をさせていく」と方向性について語っている。

photo リコーが描く「SaaS(Software as a Service)+ a BOX」型ビジネス[クリックで拡大] 出所:リコー

「SaaS + a BOX」ビジネスを強化

 ただ、「SaaS(Software as a Service)+ a BOX」型ビジネスを進める中でも、単純にSaaSビジネスを展開するだけでは、他のITベンダーとの差別化は難しい。重要なポイントになるのが「a BOX」とした、デジタルサービスに最適なハードウェア開発を行えるという点になる。

 そこで新たなハードウェアとして開発したのが「RICOH THETA X」である。新たに投入する「RICOH THETA X」は、2.25型の大型タッチパネルモニターを搭載し、現場で撮影した画像をすぐに確認できるようにした。また、バッテリー、メモリカードの交換に対応したことで、ビジネスの現場で効率よく、確実な撮影を行えるようにしている。静止画解像度は最大で6000万画素で、動画は最大5.7K(5760×2880画素)/30fpsでの撮影が可能だ。AndroidベースのOSを採用しているため、アプリケーション(プラグイン)開発も容易に行える。

 開発を推進したリコー リコーフューチャーズビジネスユニット Smart Vision事業センター 副所長の藤木仁氏は「国内におけるユーザー調査を行った結果、さらなる高解像度化を求める声などと共に、外部メモリ対応やバッテリー交換などのニーズは非常に高かった。またビジネス用途で活用する意味で現場で画像を確認できたり、GPSデータを加えたりしたいという声も多かった。新製品ではこれらの声に応えた」と語っている。新製品の発売は2022年5月中旬を予定している。価格はオープン価格としているが、市場想定価格は「11万円前後」(リコー)だとしている。

 また今後は建設現場用の独自開発のウェアラブルカメラの投入なども計画する。さらに360度映像の作成や活用を容易にする技術を強化。AI(人工知能)技術による付加価値の高いコンテンツ生成を可能とし、他のアプリケーション活用を容易にするAPI(Application Programming Interface)「RICOH360 image processing API」などを用意している。「業務で活用するためにはさまざまな業務アプリケーションとの連携は欠かせない。これらを容易に実現するさまざまな技術を用意していく」と藤木氏は述べている。

photo 「RICOH360 image processing API」の仕組み[クリックで拡大] 出所:リコー

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