サイバートラストのMIRACLE LINUXは、国産のLinuxディストリビューションとして知られている。従来のバージョンはRHELとの互換性を特徴として展開してきたが、CentOSのサポート終了発表に合わせてRHELクローンとして新たに開発したのがMIRACLE LINUX 8.4である。RHEL 8.4をベースに開発するとともに、CentOS 8とのバイナリ互換を維持しており、ライセンスフリーである点もCentOSと同じだ。
MIRACLE LINUX 8.4の最大の特徴は、サイバートラストが20年以上積み重ねてきた産業用PCや組み込み機器向けLinuxにおける開発と保守の実績が反映されている点にあるだろう。サイバートラスト OSS・IoT事業部 OSSビジネス本部 執行役員本部長の鈴木庸陛氏は「いわゆる“CentOS難民”に対応すべく、CentOSユーザーが使っても違和感がないように開発を進めた。また、2032年5月31日までの約10年間をサポート期間として予定しており、長期サポートの観点でもメリットが大きい」と述べる。
なお、MIRACLE LINUX 8.4単体では、サイバートラストが有償サポートメニュー「MIRACLE LINUX Standard サポート」を提供しているが、VPC-5000シリーズのプリインストールモデルについては、同等のサポート内容をコンテック経由でOEMライセンスとして特別提供する。提供内容は、技術問い合わせ、アップデートサポート(アップデート情報の通知、バージョンアップ版・修正モジュール・エラッタ情報の提供)の他、通常10年間のところ12年間の延長サポートサービスが追加契約なしで得られる。
コンテックの産業用PCにおけるMIRACLE LINUX 8.4の採用は、今回が第1弾で、VPC-5000シリーズで実績を積み上げながら、第2弾、第3弾と展開を広げていく方針だ。「IoTやAIといったデジタル技術を活用した新たなソリューションの開発を目指す顧客のコンピューティング基盤として提案を進めていきたい」(金田氏)としている。
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