仮想マシンなしでLinuxのGUIアプリも動作、IoT機器向けWindows10/11の最新機能Windows 11時代に突入するIoT機器向けWindows(2)(1/3 ページ)

2021年10月に正式リリースされたWindows 11。組み込み機器向けあらためIoT機器向けのWindowsは、このWindows 11の登場によってどうなるのだろうか。本連載では、何が変わるのか、そして何が変わらないのかを中心に最新情報を紹介する。第2回は、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCを中心に最新機能を紹介する。

» 2022年02月24日 10時00分 公開

 今回はWindows10/11 IoT Enterpriseのバージョン21H2で使用できるIoT(モノのインターネット)機器向け機能について、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCを中心に、製品ごとによる違いも含め解説していきます。

※)本連載では「IoT機器向け」としていますが、いわゆる組み込み機器でも利用可能なOSであることに変わりはありません。

⇒連載「Windows 11時代に突入するIoT機器向けWindows」バックナンバー

前回のLTSCリリースから3年

 Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCはバージョン21H2をベースOSとする長期サービスチャネル(LTSC)製品です。前回のLTSCがリリースされたバージョン1809から、Windows 10 IoT Enterpriseとしては6回の機能更新がありました。各リリースで登場した、より顕著な新機能の幾つかをピックアップしたものが図1となります。この図1はあくまで抜粋であり全ての新機能が含まれているわけではありません。

図1 図1 バージョン1809以降の主な変更点[クリックで拡大]

 従来バージョンの機能を維持した上で、保護機能の強化や既存機能の改善が継続的に行われている、というのが更新内容の中心ですが、本連載ではIoT機器向け機能ということで特に以下を取り上げたいと思います。

  • エディション表記やユーザーエクスペリエンスの変更
  • Windows Subsystem for Linux 2
  • ロックダウン機能の変更点
  • ソフトリアルタイム
    ※ソフトリアルタイムについては次回紹介予定です

エディション表記とユーザーエクスペリエンス

 以前のバージョンのWindows 10 IoT Enterpriseは、Windows 10 Enterpriseと共通のOSイメージであったため、エディション表記にIoTの表記が無く、“(IoTのはずなのに)Windows 10 Enterpriseと表示される”といった混乱を招くことがありました。この問題はバージョン1903で解消され、Windows IoT Enterpriseは専用のOSイメージとなりました。

 これによりIoTエディション固有のユーザーエクスペリエンスが提供できるようになり、バージョン21H2ではOSの更新時に表示されるメッセージで「Windows」「コンピューター」「PC」などの用語が使用されなくなりました。従来のロックダウン/ブランディング機能はWindowsの特徴的な画面表示の幾つかを非表示化することができていましたが、IoTエディション固有の画面表示、あるいは固有の機能といった差別化が今後進むのかもしれません。

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