サイバートラストとコンテックは、コンテックのFA向けコンピュータ「VPC-5000シリーズ」において、サイバートラストが提供するRHEL(Red Hat Enterprise Linux)クローンのLinux「MIRACLE LINUX 8.4」をプリインストールした新製品を開発したと発表した。同年4月中旬から受注を開始し、順次出荷する予定。
サイバートラストとコンテックは2022年3月29日、コンテックのFA向けコンピュータ「VPC-5000シリーズ」において、サイバートラストが提供するRHEL(Red Hat Enterprise Linux)クローンのLinux「MIRACLE LINUX 8.4」をプリインストールした新製品を開発したと発表した。同年4月中旬から受注を開始し、順次出荷する予定。発売から1年間で150台の販売を計画している。
VPC-5000シリーズは、24時間連続稼働を想定したFAスペックを満たすとともに、インテルのハイエンドプロセッサ「Xeon」の第9世代モデルに対応し、最大64GBの大容量ECCメモリを搭載可能な高性能の産業用PCである。
VPC-5000シリーズの販売形態は、受注生産となるBTO(Build To Order)で、OSの選択肢は「Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC 64-bit」と「Windows Server IoT 2019 Standard」、そして「OSなし」となっていた。ここで「OSなし」を選んでいた顧客のほとんどが自身の手でLinuxをインストールしており、そのLinuxとして広く利用されていたのがRHELクローンのLinuxディストリビューションとしてオープンソースソフトウェアで展開されていた「CentOS」である。
しかしCentOSについては、2020年末に開発コミュニティーがメンテナンスの終了を発表し、最新の「CentOS 8」に次ぐ新規バージョンのリリースを行わない方針を表明している。CentOS 8は既に2021年12月末でサポート期限を迎えており、1つ前のバージョンの「CentOS 7」もサポート期限が2024年6月末となっている。VPC-5000シリーズをはじめコンテックの産業用PCの顧客のうち、CentOSを利用している顧客にとってサポートを終了するCentOSをどのように代替すべきかは大きな課題だった。
これまで国内の産業用PC市場はFA分野が中心であり、使用されるOSのほとんどはWindowsだった。しかし、FA分野でのIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を活用するスマート工場向けでの取り組みに加え、同様にデジタル技術を積極的に活用する社会インフラ、医療機器向け分野でも、Linux上での運用が容易なコンテナなどクラウドネイティブ技術の採用が進んでおり、産業用PCにおけるLinux需要も高まっている。
コンテック 営業本部 マーケティング部 マーケティンググループ グループ長の金田健一氏は「これまで国内におけるOSなしの需要は2割程度だったが現在は増加傾向にある。そして、顧客への調査から、RHELクローンであるCentOSのユーザーがかなり多いことも把握していた。そこで今回、2016年からデジタルサイネージ向けで協業を重ねてきたサイバートラストと提携を拡大する形で、国産のRHELクローンのLinuxディストリビューションであるMIRACLE LINUX 8.4をラインアップに加えることになった」と語る。
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