GSアライアンスは、リチウムに比べて安全性が高く、安価なアルミニウムを使った「ラミネート型アルミニウム硫黄二次電池」を開発した。理論上は、リチウムイオン電池の7〜8倍の容量が期待できる。
GSアライアンスは2022年3月1日、リチウムに比べて安全性が高く、安価なアルミニウムを使った「ラミネート型アルミニウム硫黄二次電池」を開発したと発表した。低電流、長時間駆動のセンサー、IT向け電源などでの利用を見込む。
負極にアルミニウム、正極に硫黄−炭素複合体、電解質にイオン液体や深共晶溶剤系を使用し、理論上はリチウムイオン電池の7〜8倍の容量を持つ。現段階では、正極中の硫黄の重量に対して、通常の室温大気下、0.025Cの充放電下で、初期容量約950mAhg-1、100サイクル後は約200mAhg-1となる。
実際に作成したラミネートセルの開回路電圧は約0.9Vで、リチウムイオン電池よりも低く、印加電流も低めになった。同社は、サイクル特性の向上とともに、今後の課題としている。
こうした課題はあるものの、リチウムと異なり、アルミニウムは空気中でも安定した材料で、化学的にも安定で毒性もないという特徴がある。電解質も不安定な物質を使用しないため、リチウムイオン電池のような爆発や燃焼の恐れがない。アルミニウムは最もリサイクルされている金属で、地殻中にも豊富に存在する資源のため、安価な二次電池を提供可能になる。
同社は、サイクル特性や電池容量をさらに改善し、国内外へラミネートセルのサンプル供給を進めて事業化を目指すとしている。
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