日本電気硝子は、同社が開発を進めていた全固体Na(ナトリウム)イオン二次電池について、新たに結晶化ガラスを用いた負極材を開発し、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化した「オール酸化物全固体Naイオン二次電池」の駆動に成功したと発表した。
日本電気硝子は2021年11月18日、同社が開発を進めていた全固体Na(ナトリウム)イオン二次電池について、新たに結晶化ガラスを用いた負極材を開発し、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化した「オール酸化物全固体Naイオン二次電池」の駆動に成功したと発表した。
同社は2017年11月、結晶化ガラスを正極材に用いた全固体Naイオン二次電池を試作し、室温駆動に成功したと発表。正極材となる結晶化ガラスの軟化流動性を活用して、固体電解質として採用した高いイオン電導性を持つβアルミナとの一体化を図り、イオン伝導性を高めたことによって「世界初」(当時のニュースリリースより)となる室温での駆動を実現した。また、2020年には0℃での駆動にも成功している。
ただしこれまでは負極材に結晶化ガラスを用いておらず、固体電解質との一体化を実現できていなかった。今回のオール酸化物全固体Naイオン二次電池では、結晶化ガラスを用いた負極材を新開発することで、正極および負極と固体電解質との一体化に成功した上で「低温での駆動が可能」(ニュースリリースより抜粋)になったという。
開発したオール酸化物全固体Naイオン二次電池の出力電圧は3Vで、「現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性を有する」(ニュースリリースより抜粋)という。なお、一般的なリチウムイオン二次電池の出力電圧は定格で3.7Vである。
オール酸化物全固体Naイオン二次電池は、電池材料が全て無機酸化物で構成されるため、使用時および製造時に発火や有毒物質発生の懸念がないという「高い安全性」を持つ。電池性能としては、NaS(ナトリウムイオン電池)などでも採用されている固体電解質のβアルミナがイオン移動による劣化が小さいためサイクル特性がよい。シンプルな構造なので、高電位系活物質を開発できればエネルギー密度の高い電池の作製も可能だ。
そして、リチウムイオン二次電池の課題として原料のリチウムやコバルト、ニッケルなどの不足が挙げられているのに対し、オール酸化物全固体Naイオン二次電池は資源量の豊富なナトリウムや鉄を材料に用いることから資源確保の問題をクリアできるとしている。
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