全固体電池を開発するFactorial Energyは2021年11月30日、メルセデス・ベンツやステランティスと共同開発契約を結んだと発表した。双方から出資を受け、全固体電池の実用化を急ぐ。なお、2021年10月には現代自動車と起亜自動車がFactorial Energyと全固体電池を共同開発すると発表している。
全固体電池を開発するFactorial Energyは2021年11月30日、メルセデス・ベンツやステランティスと共同開発契約を結んだと発表した。双方から出資を受け、全固体電池の実用化を急ぐ。なお、2021年10月には現代自動車と起亜自動車がFactorial Energyと全固体電池を共同開発すると発表している。
Factorial Energyは独自の固体電解質を採用する。高電圧、高容量の電極を用いたセルで、室温で安全に動作することを確認しており、2021年初めには容量40Ahに到達したという。開発中の全固体電池によって高い安全性を実現するとともに、EV(電気自動車)の走行距離を20〜50%伸ばす。また、既存のリチウムイオン電池の生産設備と互換性がある製造方法も特徴だという。車載用の他、“空飛ぶクルマ”など航空機向けや、定置用蓄電池などでの実用化も目指している。
ステランティスは2026年までに全固体電池を市場導入することを2021年7月に発表。メルセデス・ベンツは2022年にもプロトタイプの全固体電池のセルをテストし、2026年までに限られた台数ではあるが車両に搭載する目標だ。メルセデス・ベンツはFactorial Energyとの共同開発に数千万ドルを投資し、全固体電池のセル単体から車両への搭載まで広く協力するとともに、Factorial Energyの取締役会に代表者を派遣する。
全固体電池については、自動車メーカー各社がロードマップを発表している。日産自動車は2024年度までに国内にパイロット生産ラインを設け、2028年度に全固体電池を搭載したEVを市場投入する。全固体電池の開発はルノーとのアライアンスでも取り組んでいる。ホンダは2021年度から実証ラインでの全固体電池の生産に着手し、2020年代後半に量産モデルで採用を目指す。フォルクスワーゲン(VW)も、2020年代半ば以降の実用化を目指す。
トヨタ自動車も全固体電池の開発を進めており、2020年代後半の市場投入を目標としているが、寿命の短さを課題に挙げる。また、同社は全固体電池の特性なども踏まえてEVよりもハイブリッド車(HEV)での搭載が先行すると見込んでいる。
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