科学計算総合研究所は「日本ものづくりワールド 2022」内の「第33回 設計・製造ソリューション展(DMS)」に出展し、機械学習によってシミュレーション結果を高速に予測するアプリケーション「RICOS Lightning」を展示。従来のCAEを用いたシミュレーション工程にかかる時間を大幅に短縮でき、製品性能の向上につなげられる点をアピールした。
科学計算総合研究所は「日本ものづくりワールド 2022」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年3月16〜18日)内の「第33回 設計・製造ソリューション展(DMS)」に出展し、機械学習によってシミュレーション結果を高速に予測するアプリケーション「RICOS Lightning」を展示。従来のCAEを用いたシミュレーション工程にかかる時間を大幅に短縮でき、製品性能の向上につなげられる点をアピールした。
RICOS Lightningは、Webブラウザ上でCAEによるシミュレーションを実行できるSaaS(Software as a Service)型CAEプラットフォーム「RICOS Production Suite」上で提供されるアプリケーションの1つである。
3次元形状を画像などに変換することなくそのまま扱うことができ、入力されるメッシュ形状によらず適用可能なグラフニューラルネットワーク(GNN:Graph Neural Network)と呼ばれる機械学習モデルをベースにした、同社独自の機械学習アルゴリズム「IsoGCN」(特許取得済み)によって、3次元形状の情報を落とすことなく学習することが可能で、素早くシミュレーション結果を予測できる。また、IsoGCNのアルゴリズムには物理現象の特性も組み込んであるため、高精度に物理現象を学習することができ、信頼性の高い予測結果が得られるとしている。
「例えば、通常、解析結果が出るまでに数日かかっていたような自動車の空力シミュレーションでも、数分間でその結果を高精度に予測できる。従来のCAEによる物理シミュレーションの計算を、機械学習の予測に置き換えることで高速にシミュレーション結果の予測が得られる」(説明員)。この自動車の空力シミュレーションにRICOS Lightningを適用した事例では、学習データ(車体のSTLデータとCAEによる解析結果の組み合わせ)80ケース分を約2時間で学習しているとのことだ。
学習データは、過去に蓄積してきたCAEの解析結果だけでなく、実際の実験データを学習させることで、実験結果の予測も行える。さらに「CAEによる解析結果の蓄積がない(学習データを用意できない)場合には、ひな型となる3Dデータ(3次元形状)から大量の学習データを生成するといった支援も行っている」(説明員)。
その他、展示ブースでは、空調シミュレーションへの適用事例も紹介。RICOS Lightningで採用する機械学習アルゴリズム(IsoGCN)は、特に流体シミュレーションの結果予測を得意としており、機械学習では難しいとされる“渦の発生”までも予測可能だとしている。
「流体シミュレーションで良い結果が得られていることもあり、自動車メーカーや空調メーカーなどとの取り組みを進めている。われわれは、RICOS Lightningの活用によって製品開発のリードタイム短縮を図るだけでなく、設計と解析、評価のサイクルを劇的に高速化できる利点を生かし、これまで解析に時間がかかるという理由で諦めていた形状も含め、より多くの形状を設計段階で検討していただくことで、製品性能の向上にもつなげてほしいと考えている」(説明員)
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