東京大学医科学研究所は、新型コロナウイルスの従来株に感染して誘導された免疫が長期間にわたり維持され、デルタ株による再感染を防御することを明らかにした。
東京大学医科学研究所は2022年2月17日、新型コロナウイルスの従来株に感染して誘導された免疫は、長期間にわたり維持され、デルタ株による再感染を防御すると発表した。
→特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」
まず、パンデミック初期のウイルスである従来株を基に設計されたmRNAワクチンを接種した人について、その血清に含まれる中和抗体を調べたところ、従来株に比べてデルタ株に対する活性が3〜4倍低いことが明らかとなった。
次に、従来株に感染し、回復してから2カ月経過したハムスターについて、血清中の中和抗体を調べた。その結果、人と同じようにデルタ株に対する活性は従来株に比べて低かった。
従来株に感染してから2.5カ月または15カ月経過したハムスターにデルタ株を再感染させると、感染歴のないハムスターにデルタ株を感染させたときと比べて鼻の中のウイルス量は非常に少なく、肺からウイルスは検出されなかった。
また、感染伝播についても確認した。従来株の感染歴があり、デルタ株に再感染させたハムスターと感染歴のないハムスターを、互いに5cm以上近づくことのできない仕様の飼育ケージで24時間飼育した。その結果、どちらのハムスターも鼻と肺からはウイルスが検出されず、再感染個体からの飛沫を介した感染伝播はないことが分かった。
これらの結果は、従来株の感染により誘導された免疫は長期間記憶され、変異株に対しても有効であることを示す。同研究所では、この免疫が2021年末から激増したオミクロン株にも感染防御効果があるかについては、今後、検証が必要としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.