どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第7回は、オンラインセミナーのコンテンツ作成をテーマに、“ナレーション付き”プレゼン資料の作り方を詳しく紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威が続いています。さまざまな職業のいろいろな立場の人にその影響が広がっています。
筆者も例外ではありません。お客さまへの訪問は制限され、モニター越しの会議が普通になってしまいました。それに加えてマスクの着用。こちらのプレゼンに対するお客さまの表情が分かりません。
そんな状況をカバーすべく、オンラインのコンテンツが増えています。その代表格がオンラインセミナーです。
今回はオンラインセミナーのコンテンツ作成について解説します。
オンラインセミナーは、場所の制約を受けないので視聴者人数、視聴者層ともに広がります。
オンラインセミナーにはライブ配信とオンデマンド配信があります。
ライブ配信はいわゆる生放送です。とにかく一発勝負です。ライブ配信は、その場で視聴者の質問に答えたり、時事ネタを盛り込んだ会話をしたりすることによって、会場の臨場感を伝えられます。また、リアルタイムの生放送なので、その時点での最新情報を提供することができます。試聴はライブ配信が行われる時間帯に限られますが、多くの場合、その録画をアーカイブとして後から視聴できるようになっています。YouTubeもそうですね。ライブ配信を見逃しても後から視聴できます。
もう1つが、オンデマンド配信です。あらかじめ講演の録画データを動画配信のプラットフォームに置いておき、視聴者が好きな場所で好きな時に視聴できるようにした配信方法です。世の中にはYouTubeやVimeoなど、多くの動画配信プラットフォームが存在します。さらに動画配信はFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSと融合しつつあります。
そして、これら2つの方式を組み合わせたハイブリッド型があります。講演部分はあらかじめ録画しておいたコンテンツを配信し、講演の後の質疑応答の時には講演者がライブで対応するというものです。同じセミナーを何度か開催する場合、講演者の負担が劇的に減ります。
ライブ、オンデマンド、ハイブリッドのどの配信方式にもプレゼン資料は必要です。ナレーション付きの講演動画を作成しておけば、ライブ、オンデマンド、ハイブリッドのどの配信方式にも対応できます。
「PowerPoint」にもプレゼンの録画機能が搭載されています。
メニューの[スライドショー]−[録画]を選択すると、標準的なPowerPointの編集画面とは全く異なる図1のような画面に切り替わります。これが録画モード画面です。
まずは右上のスピーカーのアイコンで、プレゼンの録画で使うマイクとカメラを選択します。カメラはその映像をプレゼン資料の右下隅に小さく映します。一般的なノートPCの場合、プレゼンターの顔が映ることになります。プレゼンターの表情や身振り手振りが映りますので、少しだけですが臨場感が出ます。一方で資料の右下隅を隠してしまうことにもなります。
いよいよ録画の開始です。
録画ボタンを押すと録画がスタートします。あなたの声、スライドのページめくり、スライド内のアニメーション、マウスのクリック、ペンやマーカーで書き込んだこと、その全ての動作が記録されます。
プレゼン録画の機能としては全てそろっているのですが、問題は「一発撮り」ということです。筆者の場合、ここで気が重くなります。失敗できないからです。途中で失敗したら、またイチからやり直し……。もちろんスライド単位で録画録音をクリアしてやり直す機能もありますが、スライドのトランジション(移り変わり)が不自然になったり、声の調子が変わったりで、結局、イチから撮り直しすることになります。オンラインセミナーのコンテンツを作る機会が増えた今、この緊張感は大きなストレスとなっています。
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