パナソニック コネクテッドソリューションズ(CNS)社が、製造分野における現場プロセスイノベーションのコンセプトである、24時間365日止まらない工場「Autonomous Factory(オートノマスファクトリー)」と、その実現を可能にするモジュラーマウンターの新モデル「NPM-GH」とスクリーン印刷機「NPM-GP/L」などを発表した。
パナソニック コネクテッドソリューションズ(CNS)社は2022年2月14日、オンラインで会見を開き、製造分野における現場プロセスイノベーションのコンセプトである、24時間365日止まらない工場「Autonomous Factory(オートノマスファクトリー)」と、その実現を可能にするモジュラーマウンターの新モデル「NPM-GH」とスクリーン印刷機「NPM-GP/L」などを発表した。2030年に向けて、表面実装ラインにおけるAutonomous Factoryの実現を目指すとともに、製造分野向け現場プロセスイノベーションを統括するCNS社のプロセスオートメーション事業として2020年比で倍増となる売上高4000億円を目指す。
CNS社は、パナソニックが2022年4月から導入する持ち株会社制において、パナソニック コネクトとして独立経営していくことになる。パナソニック 代表取締役 専務執行役員でCNS社 社長の樋口泰行氏は「CNS社とパナソニック コネクトが推進する現場プロセスイノベーションでは、パナソニックのインダストリアルエンジニアリングの知見と2021年9月に買収したブルーヨンダーのソリューションを融合することによるオートノマスサプライチェーンの実現を目指している。現場の中でも製造分野は、コロナ禍やそれに伴う需給の急変で顧客の困りごとが多様化しているが、それらの課題に即応し自律的に進化し続けるオートノマスファクトリーの提供を目指していく」と語る。
このオートノマスファクトリーでは、パナソニックが得意とする表面実装機などを用いた生産ラインの自動化や最適化をフィジカル領域で進めるだけでなく、サイバー領域で計画立案のマネジメントも行うなどサイバーフィジカルシステムとしての構築を目指している。サイバーとフィジカルそれぞれの領域にAI(人工知能)を導入するなどして、エッジ設備が自律的に稼働、連携することで「24時間365日止まらない工場」の実現が目標となる。
パナソニックのプロセスオートメーション事業の主力製品は、プリント基板に半導体や電子部品を搭載する表面実装機である。1976年の外販開始から実績を積み上げ、現在の世界シェアは約3割でトップクラスの地位にある。パナソニック CNS社 常務 プロセスオートメーション事業部事業部長の秋山昭博氏は「表面実装機の世界市場は年平均5%で成長し、2030年には約6300億円に拡大する。当社は今後も市場を上回る形で成長を続けていく」と意気込む。
会見では、オートノマスファクトリーを構成する重要なピースとなる表面実装機関連の新製品を3つ発表した。1つ目は、14年ぶりにプラットフォームを刷新したモジュラーマウンターの新モデルであるNPM-GHだ。従来のNPMシリーズと比べて小型軽量化した実装ヘッドを採用することにより、業界初となる±10μmの超高精度実装を実現するとともに、高精度領域となる±15μmでも4万1000CPH(1時間当たりの搭載部品数)の生産性を実現した。
2つ目は、これまで自動化できていなかったはんだ印刷工程の自動化を可能にするスクリーン印刷機のNPM-GP/Lである。印刷精度±3.8μm、サイクルタイム12秒という高いはんだ印刷性能を実現しつつ、はんだ印刷工程の完全自動化機能を実現するオプションを用意した。印刷用のマスクを最大10品種までストック可能な「マスクチェンジャー」をはじめ、はんだの自動供給と回収、プリント基板を支える下受けピンの自動交換により、機種切り替えに必要な作業を自動化する。
3つ目は、これまで提供してきた部品供給用のインテリジェントフィーダー(ITF)との互換性を確保することにより16年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「Auto Setting Feeder」である。業界で初めて、4〜104mm幅の表面実装部品供給テープ(以下、テープ)に対するカバーテープの自動剥離を実現しており、熟練技術者でなくても容易にテープをフィーダーにセットできる。次のテープを供給するローディングユニットも備えており、前のテープから部品を供給し終えたら即座に次のテープから部品を自動で補給することができる。これらの機能によって、表面実装機の運用で人の介在が最も多い部材補給における自動化を進められるようになる。
このAuto Setting Feederに加えて、挿入部品を並べたトレーの自動供給などを可能にする自動化ユニットや多目的AMR(自律走行搬送ロボット)と連携することにより、表面実装ラインにおけるさまざまな移動作業も自動化できるようになる。
投入時期は、NPM-GHが2022年度下期、NPM-GP/LとAuto Setting Feederが同年度上期で、現在実証中の自動化ユニットと多目的AMRは2023年度以降になる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.