Piomatixを採用する製品は、四輪車向けのNP1だけでなく、二輪車向け、法人向けのテレマティクスサービスなどラインアップを増やしていく。日本だけでなく北米や欧州、アジアなどグローバルに展開する。パイオニアの代表取締役兼社長執行役員の矢原史朗氏は「四輪車のグローバル保有15億台、二輪車のグローバル保有7億台を狙っていく」とPiomatixのターゲットについて語った。
パイオニアはデータを活用したサービス事業の強化に向けて「SaaSテクノロジーセンター」を設立。現在は300人ほどが従事している。サービス事業のノウハウが社内に不足していることから、中途採用を強化してプロパー社員と中途採用の社員から成るハイブリッド組織とした。
Piomatixや関連製品を統括するNP事業では、ハードウェアの販売だけでなくサービスの収益も含めて2025年に300億円、2030年に1000億円の売り上げを目指す。
ディスプレイ画面に頼らない音声による入出力を重視したのは、ドライバーが運転に集中しやすい環境をつくるためだという。車内で提供される情報量が増加し、それに伴ってドライバーの運転中の操作も増える。安全に利便性を向上するためのインタフェースとして音声を選んだ。
NP1ではセレンスの自然対話型音声認識エンジンを採用するとともに、よく行く場所などNP1に保存された情報を活用することで、あいまいな表現でもスムーズに目的地を設定できるようにした。ルート案内では、右左折までの距離や交差点の地名だけでなく、信号機や標識などの目印や、走行すべき車線などを具体的に伝える。「この道で正しい?」「もう一度言って」といった問い掛けにも回答する。目的地の駐車場の有無や、近隣のスポットの情報などを踏まえた提案も行う。
ドライブレコーダーとしてはSDカードへの録画だけでなく、クラウドでの録画にも対応した。景色を撮影したいときに音声入力で録画をスタートできる。さらに、ドライブコール機能では通話相手からもドライブレコーダーの映像をリアルタイムに見られるようにした。待ち合わせの相手との情報交換や、高齢ドライバーの見守りとして活用できるという。
NP1は前方と車内向けにカメラを2個搭載している。雑音の多い環境で乗員の発話を認識するため、マイク2個とビームフォーミング技術を採用した。ルート案内などの音声を乗員が聞き取りやすいことを重視したスピーカーとデジタルアンプも内蔵している。
ナビゲーション機能に必要な自車位置は6軸モーションセンサーとGPS、GNSSによって検出する。クラウドとの通信や車外との通話などはLTEで、スマートフォンアプリとの接続はBluetoothで行う。クアルコム製のCPUの採用により、リアルタイムのクラウド連携や、並行したアプリケーションの実行が実現したという。
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