MODEは2022年2月2日、SaaS型のIoTプラットフォーム「MODE BizStack」を提供開始した。独自技術の搭載によって、収集したデータを一元管理するだけでなく、拠点や設備別にリアルタイムで比較できるようにした。
MODEは2022年2月2日、SaaS(Software as a Service)型のIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「MODE BizStack」を提供開始した。独自技術の搭載によって、収集したデータを一元管理するだけでなく、拠点や設備別にリアルタイムで比較できるようにした。
MODE BizStackは作業現場に設置した各種IoTセンサーから設備の稼働情報などデータを一元的に収集し、見える化するプラットフォームである。複数拠点にわたるIoTデータを集約して、比較できる。こうした機能を持つプラットフォームはSaaS型では「業界初」(MODE)だという。接続可能なセンサーの種類は50種類以上におよび、温度や湿度、位置情報などのデータを収集できる。
大きな特徴としては、単にデータを収集するだけでなく、集めたデータを事業判断に生かしやすい形に自動的に変換した上で集約する仕組みを搭載した点が挙げられる。MODE CEOの上田学氏は「IoTセンサーで集めたデータは、そのまま見える化できるわけではない。従来のIoTプラットフォームは、収集したデータを整理せずにデータレイクに蓄積し、そこにパッチなどを当てて視覚化に適した形にデータを処理する。しかし、集めたデータにノイズが多い場合、処理の過程でデータが破損し得るリスクがある。また、収集から視覚化までのリアルタイム性を損うという課題もあった。MODE BizStackではこれを解決する技術を導入している」と説明した。
具体的にはMODEが独自開発した「Entity System」と「MODE Derived Metric System」という2つの技術を取り入れている。
Entity Systemは実際の組織構造に合わせて収集したデータを階層データモデルに変換するものである。例えば、営業所の下に各部門や施設、設備を位置付け、さらにその下に各部門の人員や、各施設の具体的な設備を置くといったツリー構造に沿う形で、収集したデータを整理する。
MODE Derived Metric Systemは、収集したデータの中から、KPI(重要業績評価指標)として事前に設定した項目に合わせて該当するデータを自動的かつリアルタイムに集計する技術である。蓄積したデータにバッジ処理を行うのではなく、収集する機構自体に処理の仕組みを搭載した。これによって全社横断的かつリアルタイムでのデータ表示が可能になった。
また、MODE BizStackは対応可能なIoTセンサーの種類が豊富なことや、既存設備へのレトロフィットが可能であることから、カスタム開発によるIoTシステム構築と比べると開発コストを約10分の1程度に抑えられるというメリットもある。
ユーザーがデータを把握しやすいUIのデザインにもこだわったという。Ken Omae Design 代表・チーフデザイナーの大前謙氏が設計を担当しており、例えば、経営判断に必要な情報を1画面に集約する、問題を示すデータは赤色で表示して判別しやすくする、エリア、設備、センサーなどの階層別で表示データを切り替えられるようにする、といった工夫を盛り込んだ。
また、MODEは現在、JR東日本スタートアップと共に、鉄道建設工事へのMODE BizStackの適用を試すPoC(概念実証)を進めている。
鉄道建設工事は、終電から始発までの短時間で工事を完了しなければならない、工事スペースが狭くなりがちで作業効率に影響が生じるといった課題を抱えている。そこで両社はMODE BizStackを用いて、作業者や軌陸車(軌道と道路の両方を走ることのできる車両)
などの位置情報や、工事関係者の活動情報、工事用機器の情報を一元的に把握することで「工事現場のデジタルツイン」を作成して、現場の全体把握を通じた作業効率化につなげる取り組みを進めている。
今後、BizStackでは順次機能追加を行う予定。2022年4月にはリモートメンテナンス機能を、同年夏ごろには営業車両など移動体からのデータ取得機能や、動画データへの対応機能などを搭載する計画だ。
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