カーボンニュートラルへの挑戦

企業間の排出量取引する「カーボンクレジット市場」、経産省が構想脱炭素

経済産業省は2022年2月1日、脱炭素に向けた社会や経済システムの変革を推進するために、企業と官民学のプレイヤーによる「GXリーグ」を設立するとして、その基本構想を発表した。

» 2022年02月03日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 経済産業省は2022年2月1日、脱炭素に向けた社会や経済システムの変革を推進するために、企業と官民学のプレイヤーによる「GXリーグ」を設立するとして、その基本構想を発表した。参加企業にカーボンニュートラル達成に向けた自主的な取り組みを促すとともに、温室効果ガス(GHG)排出量取引の仕組み導入も視野に入れる。

 同省の発表資料では、GXリーグでは政府が掲げる「2050年までのカーボンニュートラル達成」を1つの目標として、企業のGHG排出量削減に向けた取り組みを、取引先や消費者などサプライチェーンに関与する各種プレイヤーと協働しつつ進めるための場としている。

 参加企業は、以下に挙げるような取り組みを進めることになる。

  • 生活者にとってのカーボンニュートラル時代の未来像の在り方の検討
  • ルールメイキングなど、未来像を踏まえた新たなGX市場形成の在り方の検討
  • 社会全体での効率的な排出削減を行うための自主的な排出量取引の試行

 GXリーグ全体としてはワーキンググループなどを通じて社会の未来像を検討し、それを踏まえた「CO2フリー製品の表示方法」「炭素情報の流通方法」などのルールメイキングを行うとともに、IoT(モノのインターネット)やブロックチェーンなどの技術の社会実装を目指す。

 また、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて2030年までの目標、計画を策定して市場に開示した上で、毎年の進捗状況を取りまとめて公表する。目標未達になる場合は「カーボン・クレジット市場」を通じて、クレジットを通じた排出量取引を行う。

 参加企業のメリットとしては、GXリーグの賛同項目や取り組み実施内容を公表することで、カーボンニュートラル達成のための資金や人材が集まることや、オープンイノベーションによる事業機会の拡大などが挙げられている。

 カーボン・クレジット市場については、「将来の仕組みに向けた準備のための取り組み」(プレスリリースより)と位置付けられている。政府が掲げる削減目標の達成進捗が厳しい状況になった場合は、政府によるカーボンプライシングへの移行も視野に入れるという。

カーボン・クレジット市場も構想する[クリックして拡大] 出所:経済産業省

 経済産業省では今後「GXリーグ設立準備事務局」を立ち上げるとともに、GXリーグの構想に賛同する企業を募集し、カーボン・クレジット市場などの実装に向けた詳細設計の議論、取り組みの実証事業を2022年度に開始する準備を進める。賛同企業の募集締め切りは2022年3月31日。

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