連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第6回のテーマは「3D CADのサーフェスモデリングの基本的な使い方やその用途」だ。
皆さん、こんにちは! “テルえもん”こと、小原照記です。本連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説していきます。
それでは早速、今回のテーマを見ていきましょう。
3D CADのサーフェス機能の使い方、用途がよく分かりません……。
「サーフェスモデリング」は、線と線を結んでできる面から成る“表層だけのモデル”を作成できます。つまり、サーフェスは面のみで構成された厚みゼロの“体積情報がないモデル”になります。有機的で、寸法定義を求められる工業デザインや機械設計分野などで主に使用されます。
通常、3D CADでメカ設計を始めた際は、主に「ソリッドモデリング」を行い、機械部品を設計するかと思います。しかし、直線ではなく曲線があるデザイン形状を作ろうとした場合、ソリッドモデリングでは限界があり、サーフェスモデリングを行う必要があります。ただ、初めてサーフェス機能を使ってみると、ソリッドモデリングとの違いを理解できず、うまく使いこなすことができない……と戸惑うことがあります。
そこで今回は「サーフェスモデリングの基本的な使い方やその用途」について、詳しく解説することにします。
3D CADで立体をモデリングする際の代表的な表現方法として、
の3種類が挙げられます。まずは、それぞれの特徴について簡単に紹介します。
ワイヤーフレームは、「点」と「線」で3次元の形状を表現します。データ構造が非常にシンプルであるため、演算処理や描画が速いという特徴があります。一方、デメリットとしては、形状の面や中身の情報を持たないので、形状の認識がしづらいという点が挙げられます。また、ワイヤーフレームは、サーフェスやソリッドの3Dモデルを作る際に使われることもあります。ワイヤーフレームを作り、それに沿わせてサーフェスを作ったり、要素をつないでふさぐことでソリッドを作ったりします。
ワイヤーフレームで閉じた領域を「面」で表現したものがサーフェスです。ソリッドでは処理できないような複雑な形状のモデルを作るのに向いています。例えば、自動車のボディのような滑らかな曲面で構成された形状を作成できます。ただし、サーフェスは厚みを持たない面で構成された立体であり、体積情報を持ちませんので、最終的には厚みを付けたり、中身を閉じたりしてソリッドに変換して使用されます。
サーフェス(面)で閉じられた領域に、中身の詰まった体積情報を持った立体がソリッドです。立体の内外を区別する情報を持つため、断面図、物体同士の干渉、体積、質量などを求めることができます。
コンピュータ上での立体表現の変遷としては、1970年代の初期にワイヤーフレームで表現されるようになり、その後、1980年代にサーフェスでの表現が登場しました。そして、1990年代にソリッドで表現可能な3D CADが普及し始め、今では3つ全ての表現ができる3D CADが主流となっています。また、最近では、立体を三角面などのパッチの集合体で表現するポリゴン(メッシュ)を扱える3D CADも増えてきています。
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