3つ目の特徴は「実現場で求められる飛行性能を持つ機体」になる。最大対気速度は小型ドローンとしてトップクラスとなる毎秒15mを実現しており、強風や災害時などの厳しい環境下でも安全に使用することができる。また、準天頂衛星システムみちびきのサブメータ級測位補強サービスであるSLAS/SBASを搭載しているので、日本国内で利用する際により高精度な位置情報を把握できる。これによって、災害調査などで正確な位置情報が必要になる場面で、より安全に離着陸することが可能だ。
4つ目の特徴である「閉域網LTE通信やオフライン対応地図など幅広い拡張性」は、2022年12月から国内で始まるドローンの自動飛行との関係性が深い。まず、LTE通信の活用では、インターネットを介したドローンの操縦が可能となるため、山間地やプラント内などの遠隔地で、レベル3に当たる自動飛行による補助者なし目視外飛行ができるようになる。一方、オフライン地図の活用では、インターネットが使えない環境でも、コントロール側の基地局アプリにオフライン地図を表示してドローンを自動飛行させられる。これらの他、インフラ設備の点検画像を下から撮影したいとうニーズにも対応し、機体上部にカメラを取り付けるためのマウントも開発している。
SOTENのその他の使用は以下の通り。外形寸法はアーム展開時(プロペラ含む)で635×560mm、アーム収納時で162×363mm。重量は、標準カメラとバッテリーを含めて1.7kg。標準カメラ搭載時の最大飛行時間は、標準バッテリーで22分、大容量バッテリーで25分(風速毎秒8m条件下)。ドローンと送信機(プロポ)間の最大伝送距離は4km。2022年6月から始まるドローンの登録制度を見据え、BluetoothベースのリモートIDにも対応した。撮影データの集積に用いるクラウドは、NTTドコモが提供する「セキュアフライトマネジメントクラウド」を用いる。SOTEN購入者には、3年間利用可能で、ストレージ容量5GB、登録メンバー数1人、機体登録数1機のベーシックプランが付帯している。
今後の拡販に向けたパートナーとしては、ディストリビューター契約を締結したシネックスジャパンとVFRがSOTENの予約受付を2021年12月7日から開始している。
会見では、経済産業省 製造産業局 局長の藤木俊光氏が登壇して政府が目指すドローンや空飛ぶクルマの産業振興に向けた取り組みを紹介するとともに、ACSLの鷲谷氏と、航空法改正に携わった内閣官房 小型無人機等対策推進室 参事官の小熊弘明氏、インフラ点検事業者の代表となるグリッドスカイウェイ CEOの紙本斉士氏が登壇したトークセッションも行われた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.