NEDOが2020年度から進めてきた事業「安全安心なドローン基盤技術開発」の成果について説明。同事業は、災害調査やインフラ点検における政府や公共部門のニーズに対応する、安全性や信頼性を確保した標準ドローンを設計・開発する内容で、コロナ禍の中1年弱で新たなドローンの開発にこぎつけた。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2021年4月13日、オンラインで会見を開き、2020年度から進めてきた事業「安全安心なドローン基盤技術開発」の成果について説明した。同事業は、災害調査やインフラ点検における政府や公共部門のニーズに対応する、安全性や信頼性を確保した標準ドローンを設計・開発する内容で、コロナ禍の中1年弱で新たなドローンの開発にこぎつけた。今後は、2021年7月末までに最終的な開発を完了させてから、同年11月末までにドローンの量産体制を構築し、2021年度内には政府への納入を果たしていきたい考えだ。
今回の事業には、ドローンベンチャーの自律制御システム研究所(ACSL)と、ヤマハ発動機、NTTドコモ、ザクティ、先端力学シミュレーション研究所(ASTOM R&D)の5社が参加した。事業予算は16.1億円で、委託事業の「政府調達向けを想定したドローンの標準機体設計・開発及びフライトコントローラー標準基盤設計・開発」と、助成事業の「ドローンの主要部品設計・開発支援並びに量産等体制構築支援」に分かれる。
委託事業では、政府調達に求められるドローンのハードウェア開発に加えて、高い飛行性能や操縦性を実現するフライトコントローラーの標準基盤の設計開発と、それらのAPIの公開が含まれている。また、“安全安心”のための高いセキュリティを実現する技術開発と実装も求められている。
会見では、委託事業で開発を進めているドローンの標準機体が披露された。重量1.7kg、幅65cmと比較的小型のドローンで、IP43相当の防塵(じん)防水性能を持つ。事業のコンソーシアムリーダを務めるACSL 社長兼COOの鷲谷聡之氏は「ドローンはホビー用途から市場が立ち上がったこともあり小型の製品が多数ある。しかし、今回の災害調査やインフラ点検向けで、安全安心も満足するような産業用の小型ドローンはあまりない」と語る。
用途によって搭載するカメラをワンタッチで切り替えられるとともに、公開予定のAPIを活用することによる幅広い拡張性も有している。飛行データや撮影データを守るとともに、無線通信を介したのっとりなどを防ぐためのISO 14508に準拠したセキュリティ対策も施した。ベンチャー企業のACSLが中核となって、アジャイル型開発によって1年弱という短期間で機体が完成したことも大きな成果の1つだ。
その他の製品化時の主な仕様としては、飛行時間は約30分で、動画4K対応、2000万画素のカメラを標準で搭載する。航空法の改正に合わせるためのリモートIDは、Bluetooth 5.0により対応。さらに、3方向を検知する赤外線センサーを用いた衝突回避機能も搭載するとしている。
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