また、カテゴリー別受注割合では、半導体が多いことに加えて、専用の耐熱樹脂の不足が顕著なコネクターも大きく増加している。受動部品では、MLCC(積層セラミックコンデンサー)などのコンデンサーは需給が落ち着きつつある一方で、抵抗の不足感が高まっているという。海外向け販売では、米中に加えて欧州からの受注も増えているとした。
これら半導体や電子部品の不足を補うためコアスタッフの受注が大きく増加しているわけだが、オンライン商社である同社の新規顧客数=販売Webサイトの新規会員数も大きく伸びており、2021年は2020年比で倍増のペースになっている。
戸澤氏は半導体・電子部品業界の現状を総括して「バッファー在庫の確保が一般的になる」「オンライン調達が一般的になる」「在庫投機家の存在」などを挙げ、顧客のマインドセットが大きく変わったことを指摘した。特に、在庫投機家の値付けについては「半導体メーカーも2〜3割ほど値上げしているが、比較にならない価格で販売してる。数カ月前は従来価格の10倍で驚いていたが、最近では50〜100倍という声も聞こえてくる」(戸澤氏)という。
さらに近い将来の動向として、近くに必ず迎えるであろう中規模な踊り場に対しての「過剰発注と半導体需要の綱引き」、半導体不足に乗じて増加している偽造品のリスクに対応する「検査能力の重要性の高まり」、そして部品を入手できないことで資金繰りが悪化してしまう「黒字倒産の危惧」を挙げた。検査能力については、コアスタッフは独自に保有する解析設備によってほとんどの偽造品を見つけ出す体制を有する他、1年間の製品保証を提供するなどの強みも有している。
また、「黒字倒産の危惧」については「半導体や電子部品など必要な部材を8〜9割入手できていれば、そこからさらに調達を努力してモノを作ろうとなるが、4〜5割しか入手できないとなるとモノを作ることを諦めてしまう。国内製造業の8割を占める中堅・中小企業はその傾向が強い。今は何とか調達を工夫して乗り切っているが、今後は部品確保の巧拙で企業の将来が左右されるかもしれない」(戸澤氏)としている。
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