スズキも、静岡県浜松市などと協力して地域の移動に着目したプロジェクトを実施している。高齢者が健康に過ごす上で移動の自由が不可欠であり、免許返納後の移動サービスを提供することが1つのアプローチであると位置付けている。それだけでなく、運転できる期間を長くするための医学的な対策も模索している。認知症にかかる人が高齢者の5〜6人に1人、2025年には700万人に上るといわれる中で、認知症の兆候を早期発見し、認知症の発症を予防できれば、認知症で運転を諦める人を減らせると見込んでいる。高齢ドライバーの日々の運転から注意機能や空間認識能力の変化を分析し、認知症の兆候を見つける検証を浜松医科大学などと協力して進めている。
いすゞ自動車と日野自動車は、架装部分と車体が分かれる商用車ならではの視点でコネクテッド化やサービス化を進めている。いすゞでは、物流の管理と車両のメンテナンスの両面でコネクテッド化に取り組んでいる。また、架装メーカーと協力したコネクテッド化により、架装物の稼働や制御情報から最適なメンテナンスや故障への迅速な対応を行い、車両から架装物までトータルでのサポートを強化している。
日野自動車では、2019年の東京モーターショーで披露したモビリティプラットフォーム「フラットフォーマー」の開発を現在も続けている。シャシーと車体を切り分けて運用することで、車体はニーズに合わせてきめ細かく用意して、必要に応じて車体を載せ替えることでシャシーの稼働率を最大限に高めることを目指している。地域の暮らしに合わせて最適化できる商用車によって多様なサービスを実現するとともに人や街の交流を生む役割を担っていくと訴えた。
就職活動に向けて業界の動向を調べている学生向けのイベントということもあって、カワサキモータースやヤマハ発動機は消費者に認知度の高い二輪車ではなく、その他の事業領域を重点的に紹介。カワサキモータースは、誰もが運転できることを目指した電動三輪車「ノスリス」や、物流のラストワンマイルを担う自動搬送ロボットをアピールした。ノスリスは原付一種もしくは軽車両に該当する2タイプがあり、原付一種に該当するタイプもヘルメットなしで運転できる。前二輪で安定性が高く、転倒しにくいことから高齢者にも向く。自動搬送ロボットは荒れた路面や段差にも対応できる走破性を持っており、これまで二輪車で培ってきた強みが生かされているという。
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