日本自動車工業会(自工会)は2021年11月27日、オンラインイベント「JAMA次世代モビリティキャンパス2021」を開催した。乗用車メーカーや二輪車メーカー、商用車メーカーの現場の社員が参加し、従来の製品の枠にとどまらない「モビリティ」の将来や、ソフトウェアエンジニアが活躍する領域について語った。
日本自動車工業会(自工会)は2021年11月27日、大学生や大学院生の就職活動向けオンラインイベント「JAMA次世代モビリティキャンパス2021」を開催した。乗用車メーカーや二輪車メーカー、商用車メーカーの現場の社員が参加し、従来の製品の枠にとどまらない「モビリティ」の将来や、ソフトウェアエンジニアが活躍する領域について語った。
冒頭は自工会 次世代モビリティ委員会 委員長の山本圭司氏(トヨタ自動車 執行役員 コネクティッドカンパニー プレジデント)があいさつした。200年前に発明されたカルノーサイクル、130年前にカール・ベンツが開発した3輪自動車、100年前の「T型フォード」の量産やリンカーン・ハイウェイの開通に触れ、自動車がこれまで社会にもたらしてきた変化を紹介。さらに、これまでと同等もしくはそれ以上の大きな変化が起きようとしており、その中で自動車業界が成長産業として発展していくことを訴えた。
こうした変化の軸となっているのがいわゆる「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)であり、「スマートフォンに4つのタイヤをつければクルマになる、という説があるが、実際には成立しない。クルマが単にインターネットにつながるのではなく、クルマから集めたデータが社会システムのあらゆる場所で活用されるようにしていかなければならない」(山本氏)と語った。
オンラインイベントでは、2つのパネルディスカッションが行われた。1つ目のパネルディスカッションには、入社10年未満の若手や、異業種から自動車業界に転職してきた社員が参加し、CASEに関連する自社の取り組みを紹介した。
スズキやヤマハ発動機は、地域密着の取り組みを紹介した。スズキは、日本よりもデジタル化が進んでいる一方で移動の課題も多いインドで、現地向けのコネクテッドサービスを展開している。自家用車を持つ高所得者層が、運転手に送迎させた後のクルマの状態を知ることができるというサービスもあるという。クルマの所有者を送迎したドライバーが、そのクルマを無断で使って副業に励むという例があるためだ。日本で開発したサービスを海外に輸出するだけではないと訴えた。
ヤマハ発動機は、ゴルフカーをベースにした低速の自動運転車の実証実験を静岡県磐田市で行っている。公共交通の維持が難しい地域で移動サービスを提供する上で自動運転技術が人件費削減に貢献するという。また、外出の機会を増やすことで、高齢者の健康寿命を延ばす狙いがある。
さらに、移動図書館となる車両を公園に派遣するといった形で、自動運転車を通じて住民同士の交流を生み出すことも目指している。そのためには車両に載せるコンテンツやサービスを第三者から提供してもらう必要があり、カスタマイズしやすい車両によって多様化を図っていく。自動運転とまちづくりがかかわっていることをアピールした。
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