MONOist パートナーシップを含め、具体的にはどのような取り組みを進めているのですか。
田中氏 ターゲットの各業界においてさまざまな粒度の課題を解決するために、OKIの持つ技術力が生かせないかということを提案し、相談などを通じてソリューションの形を作り、具体的な形にしていく取り組みを行っている。
既に具体的なさまざまな成果が生まれている。例えば「道路交通」分野では、DSRC(Dedicated Short-Range Communications)や5Gネットワーク、ETC2.0、さまざまなエッジセンサーを活用したソリューションで、自動走行や安全運転支援をサポートしたり、物流効率化をサポートしたりしている。「建設/インフラ」「防災」「金融/流通」「海洋」などの各領域でも、既に実導入が行われている具体的な成功事例も生まれ始めている。
製造業向けでは「Manufacturing DX」として、自社工場のノウハウと製造ソリューションをベースにスマート工場の実現を支援する。具体的には「現場変革」「IT・オペレーション変革」「マネジメント変革」の3つのサポートを進めている。ベースとなるのは、ローカル5G技術などの他、独自の「プロジェクションアッセンブリーシステム」や設備・ロボット自律制御、行為判定、外観異常判定などの技術力がある。
MONOist 「現場変革」「IT・オペレーション変革」「マネジメント変革」は具体的にはどういうことを目指すものですか。
田中氏 「現場変革」は、設備の見える化による生産性向上や職人の技術継承など現場の困りごとを起点に、デジタル活用を推進する取り組みだ。OKIの自社工場でのさまざまな導入や実証を通じて得た“リアルな”成果を通じて、現場に最適なソリューションを作り出していく。現場情報を取得する各種センサーや、これらの情報を整理して収集して蓄積するエッジコンピューティング技術、組み立てを支援する「プロジェクションアッセンブリーシステム」の提供などを行う。また、波形データ解析を行い、保全活動を支援する取り組みなども行っている。従来の改善活動をさらにデジタルの力で広げるような取り組みだ。
「IT・オペレーション変革」は、ITおよびデータ活用を切り口とし、現場の大容量データをAIエッジで一次処理を行い、上位システムとの円滑な連携を実現するデータ処理によって、新たな価値を現場のオペレーションに生み出す取り組みだ。AIエッジシステムにより、職人技を含む現場の知見をリアルタイムでフィードバックし、現場のモノづくり向上を目指す。具体的にはローカル5Gの活用や画像によるAIを活用した外観検査や、行為判定の実現、工場見える化を実現するコックピットシステムの構築などを行う。
「マネジメント変革」では、現場の生産状況やリソース状況などをリアルタイムに把握することで、柔軟な経営判断を行えるようにする現場と経営を結ぶ。現場のデジタル化で得られたデータをERPやMES、資産管理システムに取り込み、統合した形でさまざまな判断が下せるようにする。
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