3DEXPERIENCE Worksのユーザー数については「非公開」(同社)となっているが、現状では中堅・中小規模の企業での利用が多いとのことだ。また、導入については、新規で3DEXPERIENCE Worksを採用するケースと、既存のSOLIDWORKSデスクトップ製品ユーザーがその環境を拡張する形で3DEXPERIENCE Worksを導入するケースの両方があるとし、同社は引き続き双方の導入ケースを伸ばしていきたい考えだ。
また、バージョンアップの頻度については、SOLIDWORKSデスクトップ製品の日本でのメジャーバージョンアップは毎年11月ごろで、その後、5回程度のサービスパックが提供され改良などが行われている。これに対し、3DEXPERIENCE Worksは基本的には毎年11〜12月ごろにメジャーバージョンアップが行われ、その後、3カ月に1回(年に4、5回程度)のペースでアップデートが適用され、新たなロールの追加や既存ロールの機能拡張などがなされているという。
続いて、同社 営業技術部の柿沼直樹氏が、SOLIDWORKS 2022の新機能および機能強化ポイントを紹介した。なお、最新版のSOLIDWORKSは、例年通り非常に多くの機能が追加/拡張されているため、説明会では製品設計におけるCAD機能、シミュレーションとビジュアライゼーション、そして、3DEXPERIENCE Worksが提供するロールの中から注目機能について取り上げた。
CAD機能の強化ポイントとしては、ユーザーエクスペリエンス(UX)、部品、アセンブリ、図面に関する内容をピックアップして説明した。UXの強化ではショートカットキーによる利便性向上が図られている。例えば、キーボードの[Q]キーで非表示の参照ジオメトリを一時的に表示したり、[S]キーでショートカットバーを呼び出して、検索窓からコマンドを検索したり、追加済みの任意のコマンドを実行したり、ショートカットバーにコマンドを追加したりといったことが可能となった。
部品では、3D設計作業のさらなる効率化が図られている。従来、パーティングラインに対して片方ずつしか抜き勾配が付けられなかったが、新バージョンではパーティングラインの両側に抜き勾配を作成できるようになった。「これまで2コマンド必要だった操作が1コマンドで済むようになった」(柿沼氏)。その他、ミラー機能が2平面を基準にミラーできるようになったり、(前述した通り)円筒面による断面表示が設計者の意図をくんで自動的に中心線で切られるようになったりと、作業性がアップする機能強化がなされている。
アセンブリに関しても、SOLIDWORKS 2022では、従来と同様にパフォーマンス向上が図られている。例えば、モデルの必要最低眼の情報だけを読み込むことでパフォーマンスを向上させる「大規模デザインレビューモード」で開いているアセンブリの図面を「ディテイリングモード」(モデル情報を読み込まないことで、大規模な図面を素早く開くことができる)で直接開けるようになった。「従来は開くモードを選択できなかったため、全ての情報を読み込んで開く『解除済みモード』を用いる必要があったが、新バージョンではパフォーマンスの高いモードで図面を開くことができる」(柿沼氏)。また、大規模デザインレビューモード中に、大規模アセンブリの中に含まれる別のアセンブリ(サブアセンブリ)を開く際のモードも選べるようになっている。これら機能強化により、パフォーマンスを落とさずに設計作業が進められる。
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