それでは、日本のこのような少子高齢化や人口減少と他の国々との比較を、ファクトを基に確認していきましょう。図4はOECD各国と中国、インドについて人口の増減率をまとめたグラフです。1970年時点を基準としています。
こうして見ると、実はG7など主要国でも、人口の増える国と減る国に分かれていることに気付きます。米国やカナダ、英国、フランスはこのまま増加を続けそうです。一方で、日本だけでなくイタリア、ドイツ、韓国、中国などは徐々に減少局面に入っていきます。また、ラトビア、リトアニア、ハンガリーなど既に人口減少が進んでいる国もあります。
それでは、人口に占める生産年齢人口の比率はどのように変化しているのでしょうか。同じくOECDのデータを見てみましょう。図5は全人口に占める生産年齢人口の比率をグラフ化したものです。国の経済成長を考える上では、生産年齢人口の労働で、全人口の生活を支えていくことになりますので、とても重要な指標と言えます。
日本は1990年代に比較的高い数値でしたが、その後は右肩下がりに低下しています。2018年には55%程度、2050年には48%になると想定されています。確かに日本は、先進国の中では他国に先行して生産年齢人口比率の低下が進みますが、それは日本だけではありません。インドなどの国を除けば、ほとんどの国が2050年で48〜56%程度の範囲に入ります。
こうして見ると、少子高齢化による生産年齢人口比率の低下は、どの先進国でも共通の課題だといえます。多少の時期や程度の差はありますが、日本ばかりが特殊な状況ではないということは人口問題のポイントではないでしょうか。
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