「人口減による経済停滞」は本当か? 自己実現型停滞から脱するために必要なもの「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(8)(2/5 ページ)

» 2021年10月04日 11時00分 公開

少子化と非婚率の関係とは

 図2に日本人の出生、婚姻、死亡、増減数について推移をまとめたグラフを示します。

photo 図2 日本人の出生・婚姻・死亡・増減数の推移(クリックで拡大)出典:「国立社会保障・人口問題研究所データ」を基に筆者が作成

 これを見ると、出生数は右肩下がりで減少しています。団塊の世代(1947〜1949年生まれ)では年間に250万人以上の出生数があったのに対して、直近では80万人台に減少しています。年間の出生数は実に3分の1にまで減っていることになります。

 一方で死亡数は右肩上がりで増加していますので、差し引きで大きく減少している状況です。その結果、2008年には初めて総人口が減少に転じました。人口減少の要因として、出生数が減少していることはよく知られていると思いますが、あまり注目されていませんが、死亡数が増加しているという側面もあるようです。

 興味深いのは、1993年頃から出生数と婚姻数との比率(黒線)が1.5前後で横ばいとなっている点です。結婚して子供を持つ人数は変わらないか、やや上昇傾向ですらあります。つまり、少子化は「結婚してから持つ子供の人数が減っている」というよりも「結婚する人自体が減っている」ことで深刻化しているともいえそうです。

 それでは、この「結婚した人の人数」についてのファクトを見ていきましょう。図3は日本人の50歳時の未婚割合を示します。

photo 図3 50歳時の未婚割合(クリックで拡大)出典:「国立社会保障・人口問題研究所データ」を基に筆者が作成

 このデータは死別や離別は別項目として集計されているので、純粋に50歳までに1回も結婚していない人の割合となります。日本では男性は1960年頃を底にして徐々に未婚割合が増加し始め、1990年代以降で急激に増加しています。今では、男性の4人に1人が未婚という状況です。

 2014年に行われた「結婚・家族形成に関する意識調査」では、次のような報告がありました。

Q 結婚生活をスタートするにあたって必要な年収は?

A 497.9万円(未婚者)

Q 現在結婚していない理由は?(複数回答可能)

A 男性(20代、30代)の回答

  • 2位:結婚後の生活資金が足りないと思うから(35.2%)
  • 6位:結婚資金が足りないから(21.9%)
  • 7位:雇用が安定していないから(20.3%)

 結婚するためには一定以上の収入が必要と考えられていて、未婚の理由に経済的理由が多いということが目立ちます。このようなことからも、日本の少子化は、非婚化とも密接に関わっており、さらに非婚化は男性労働者の貧困化とも関係が深いということがいえるのではないでしょうか。

 連載の第1回「われわれは貧困化している!? 労働賃金減少は先進国で日本だけ」では、労働者の貧困化について取り上げましたが、日本では特に男性労働者の平均給与が下がっているのが特徴的です。少子化は「多様化の進む成熟した国家の宿命」のように報じられることも多いようですが、日本の場合は経済的な要因で進んでいる面もあるといえます。

 そう考えると、逆に経済成長によって、少子化にも歯止めをかけられる可能性もあるのではないでしょうか。ここからは人口が増えている他の国々の状況を見てみましょう。

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