CO2排出削減だけじゃない、環境のためにやるべきこといまさら聞けない自動車業界用語(16)(1/3 ページ)

今回は近年、非常に注目されていて、自動車関連企業の各社が積極的に取り組んでいる「環境」について説明します。

» 2021年08月23日 06時00分 公開
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今回は近年、非常に注目されていて、自動車関連企業の各社が積極的に取り組んでいる「環境」について説明します。


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 これまで、自動車業界で重視されてきたは「安全」「品質」「コスト」「納期」。これに加えて、「環境」も順守しなければならない項目となり、年々その重要度を増しています。なぜ「環境」はそれほど重要なのか、そして具体的に現場で「環境」に対し、どのように取り組んでいるのかについて解説します。

「環境」をないがしろにして経営はできない

 皆さんは「ESG」という言葉をご存じでしょうか。決算発表などで見られた方も多いでしょう。「ESG」は環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字です。企業の安定的、長期的な成長のために必要な観点であり、企業価値を測る、また投資を実施する際に重視される指標になっています。財務上「もうかっているか」だけでなく、「ESG」も考慮に入れたESG投資が世界の潮流となっています。「ESG」の「E=環境」を重視しなければ、長期的に成長を見込むことのできない企業だとされ、株は買われず、市場からも評価されない、経営が立ち行かなくなってしまうのです。

 ちなみに、ESGとよく似た言葉でSDGs(持続可能な開発目標)があります。SDGsは「目標」であり、企業がESGに注力して事業活動を展開することが、結果としてSDGsの目標達成につながっていくという関係にあります。ややこしいですが覚えておきましょう。

 「環境」に配慮した企業活動とは、自動車業界ではどのような活動になるのでしょうか。実は「環境」に関わる取り組みは非常に多岐にわたります。最近は地球温暖化対策のための「CO2排出削減」が非常に注目を集めていますが、排出削減はあくまでも環境に配慮した企業活動の1項目に過ぎません。ここからは代表的な活動について、具体的な取り組みを上げながら説明します。

CO2排出削減の2つのアプローチ

 まずは最も代表的な環境への取り組みである「CO2排出削減」に触れます。地球温暖化防止のため、企業ではCO2排出量の見える化およびその削減が求められ、その重要度は年々増すばかりです。例えばトヨタ自動車は2035年に自社工場のCO2排出実質ゼロの目標を掲げ、仕入れ先に対しても年間排出量の3%減を要請するなど、サプライチェーン全体で脱炭素の動きは加速しています。

 では具体的にどのように取り組めばCO2排出を減らすことができるのでしょうか。方法は大きく分けて2つあります。1つ目は「エネルギーをクリーンにすること」です。生産時に使用される「電気」を生み出す際にCO2が排出されます。CO2を排出しない、もしくは排出量が少ない電力を使えば、CO2排出削減が可能になります。

トヨタ自動車の工場のカーボンニュートラル化に向けたロードマップ(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車
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