肌に塗った日焼け止めの各成分の見える化に成功医療機器ニュース

コーセーは、貫通孔ポーラスアルミナ薄膜「DIUTHAME」を用いたイメージング質量分析法により、肌上の日焼け止めの各成分量や存在場所をマッピングする技術を開発した。

» 2021年08月11日 15時00分 公開
[MONOist]

 コーセーは2021年7月20日、貫通孔ポーラスアルミナ薄膜「DIUTHAME」を用いたイメージング質量分析法により、肌上の日焼け止めの各成分量や存在場所を一括マッピングする技術を開発したと発表した。浜松ホトニクスとの共同研究による成果だ。

キャプション 肌上の日焼け止め塗布膜の成分マッピングと重ね合わせ図(クリックで拡大) 出典:コーセー

 DIUTHAMEは、浜松ホトニクスが製造する酸化アルミニウム薄膜(Desorption Ionization Using Through Hole Alumina MEmbrane)。肌の上に乗せるだけで日焼け止め塗布膜のみを採取でき、分析前に複雑な前処理を必要としない。

 今回の研究では、採取した塗布膜を領域ごとにイメージング質量分析し、日焼け止めの各成分の存在場所や量を可視化することに成功した。その結果、紫外線吸収剤の中でも、油性成分と水性成分が異なる場所に存在することで、塗布膜全体で紫外線の防御をしていることなどが示された。

 また、日焼け止めの使用シーンごとに各成分の塗布状態を評価したところ、日焼け止めを塗った後の活動や汗により、特に水性の紫外線吸収剤が落ちていく様子が観察できた。このことから落ちる量やスピードは成分により異なることが確認され、同分析技術が、汗で落ちづらい成分や製剤の設計時に活用できることが示唆された。

キャプション 使用シーンごとの日焼け止め中の紫外線吸収剤の可視化(クリックで拡大) 出典:コーセー

 日焼け止めは、必要な成分がきちんと塗布されていないと効果が得られない。しかし、化学的性質が異なる多様な成分が含まれているため、一度に可視化することは困難だった。今回開発した分析技術が、日焼け止めの効果検証や処方開発に役立つとしている。

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