本当に日本は「デフレ」なのか、「物価」から見る日本の「実質的経済」の実力「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(5)(2/4 ページ)

» 2021年07月12日 11時00分 公開

消費者物価指数とGDPデフレータそれぞれの内訳

 参考までに、消費者物価指数の詳細内訳の推移グラフも見てみましょう。図2が消費者物価指数の1970年を基準値(100)としたときの、総合値を構成する各項目の推移です。

photo 図2 消費者物価指数の詳細推移グラフ(クリックで拡大)出典:「総務省 統計局データ」を基に筆者が作成

 当然ですが、総合値よりも高い項目もあれば、低い項目もあります。「家具・家事用品」は「総合値」よりも大きくマイナスで推移しているのに対して「教育」は大きくプラスです。1990年代以降は全体的に停滞気味です。

 このように、消費者物価指数は各項目を案分して、1つの指標としてまとめているわけです。当然、この項目はさらに詳細の細項目を案分してまとめている指標になりますし、その細項目はさらに個別の品目の価格を案分してまとめた指標となります。例えば、「食料」は「魚介類」や「肉類」「野菜」「果物」などを総合した指標です。そして、「肉類」も「豚肉」や「牛肉」などを総合した指標となるわけですね。最終的には個別の販売価格の変動を観測したものに行き着くわけです。

 GDPデフレータも同様に、GDPを構成する項目を総合した指標となります。図3がGDP生産面を構成する産業ごとのデフレータです。1994年基準のグラフとなります。

photo 図3 GDPデフレータ(生産面)の詳細推移グラフ(クリックで拡大)出典:「OECD統計データ」を基に筆者が作成

 GDPデフレータについても総合値に対して、高い項目や低い項目があります。

 注目はやはり工業(製造業)です。日本で最も規模の大きな産業の1つですが、右肩下がりで物価が下がっていることになります。1994年の水準に対して、現在は約7割という状況で、30年弱の間に3割程度も価格が下がっているという状況です。また、その他も全体的に横ばいか減少している産業が多いといえます。建設業がやや増加基調であることと、金融業が特徴的な推移をしています。私たちが普段消費者として購入したり、ビジネスで接したりするようなモノやサービスの価格と、物価指標との関係をご理解いただけたのではないでしょうか。

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