連載
» 2021年06月19日 08時00分 公開

「スカイラインを諦めません」の意味を深読みしたい記者心理自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

[齊藤由希,MONOist]
前のページへ 1|2       

ドローンも船もパワートレインが変わる

 さて、今週掲載した記事も少し紹介させてください。自動車だけでなく、ドローンや船も次世代のパワートレインに進化しようとしています。

 ドローン向けのシリーズハイブリッドシステムを開発しているのはヤマハ発動機です。マルチコプタータイプのドローンはさまざまな場面で利用されていますが、パワートレインは自動車のEVと同じくバッテリーから得られる電力なので、飛行できる時間に限界があるのが課題です。EVであればバッテリー搭載量を増やすという力技が通用しますが、ドローンではその解決策を取り入れるのが難しいです。シリーズハイブリッドシステムであれば、飛行する時間を大幅に伸ばすことが現実的になります。

 より遠くまでモノを運べるようになれば、ドローンでできることも変わっていきそうです。トラックだけでなくドローンもモノを運ぶ有効な手段になれば、物流の全体像の描き方も変わります。

 船の世界では、日本郵船が船舶用の燃料を重油からLNG(液化天然ガス)に、将来的にはアンモニアや水素に変えていこうとしています。内燃機関を使うことは共通ですが、それぞれの燃料の特性に合わせた進化が不可欠です。

 完成車を輸出する自動車専用船がカーボンニュートラルを実現していくことは、自動車が消費者の手元に届くまでに排出されるCO2の削減に有効です。日本郵船は合計20隻のLNG燃料船を導入するため、累計2000億円を投資します。LNG燃料船は将来にわたってどんどん増やすわけではありませんが、それでも投資に踏み切りました。現時点で温室効果ガスの削減に効果のある確かな技術であるとして、採用を決めたのです。

 日本郵船 専務執行役員で自動車輸送本部長の曽我貴也氏はオンライン会見で、歯切れよく率直な言葉で自動車専用船のカーボンニュートラル戦略を語りました。「LNGは主流になる燃料ではないのでは?」という質問にもはっきりと回答していて、記者に好かれそうな話しぶりでした。

 自動車業界は、製造業や取材するメディア、さまざまなモデルのファンも含めると大変な“大所帯”です。そのクルマを買うわけではない人がモデルの存続を嘆いたり、外野が勝手に「そのメーカーらしさ」を断じたりして評価を左右するので、パブリックリレーションズ(PR)が難しい業界なのではないかと思います。自社に対する理解や信頼を得ることも重要ですが、「これだ」と自信を持てる方向に会社が進む方がもっと大切です。「これだ」という方向は、20年、30年と通用するモノを開発することかもしれないし、時代の変化をその都度敏感に読み取っていくことかもしれません。何かを止めることがネガティブな理由ばかりとは限りません。それがパブリックリレーションズを通して伝われば、万々歳ですよね。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.