中長期的なDX推進パートナーを求める小売業や消費財メーカーが増加か製造ITニュース

マイクロソフトは2021年6月16日、小売企業や消費財メーカーで進むDXの現状と、それらの企業を対象とするIT市場での戦略説明会を開催した。また説明会では、マイクロソフトの製品、サービスを用いてデジタル戦略を進める消費財製造業として資生堂を紹介した。

» 2021年06月17日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 マイクロソフトは2021年6月16日、小売企業や消費財メーカーで進むDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状と、それらの企業を対象とするIT市場での戦略説明会を開催した。また説明会では、マイクロソフトの製品、サービスを用いてデジタル戦略を進める消費財製造業として資生堂を紹介した。

米国に「10年遅れ」だった国内小売業が変化

マイクロソフトの山根氏※出典:マイクロソフト[クリックして拡大]

 マイクロソフトは1990年代から現在に至るまで、小売業や消費財製造業を対象としたビジネスを継続的に行っている。その中で市場に生じた変化について、日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部長の山根伸行氏は「当社は従来、ITベンダーとして顧客企業にサービスを導入して、その都度対価を得るというケースが多かった。だが、当社とウォルマートが2018年に5年間に及ぶ戦略的パートナーシップを締結したのを皮切りに、中長期的なパートナーシップに基づいた“伴走”を求める企業が増えている。Amazon.comなどのEC企業に対抗するために、当社のようなデジタル企業と既存の枠組みを超えた取り組みを行おうとする顧客が増えているためではないか」と説明する。

マイクロソフトが展開する小売業と消費財製造業向け施策※出典:マイクロソフト[クリックして拡大]

 顧客企業が中長期的なパートナーとしてマイクロソフトを選ぶ理由については、同業他社と比較して同社が業界最先端のテクノロジーを保有していることに加えて、顧客が属する産業カテゴリーと事業に関する深い知見や、DXをサポートするリソースを有している点などを挙げた。

 こうした強みを背景に、マイクロソフトは小売業に対しては「顧客理解」「従業員の能力強化」「サプライチェーンの高度化」「小売業界の再創造」を、消費財製造業に対しては「消費者とブランドのつながり強化」「アジャイルで継続的な製品ライフサイクルのためのオペレーション最適化」「取引先との連携強化」「イノベーション加速」をそれぞれ戦略の柱に掲げて施策を展開しているという。

マイクロソフトの藤井氏※出典:マイクロソフト[クリックして拡大]

 また、特に国内小売業界におけるDXの進展度合いについて、日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 流通業施策担当担当部長 藤井創一氏は「グローバルの事例では、例えばIKEAはデジタル活用を通じて、約16〜20万人在籍する従業員の業務生産性と顧客接客力の向上を目指している他、モリソンズはAI(人工知能)による需要予測に基づいた自動発注を行い、業務生産性の向上と発注作業の高度化を実現している。一方で、これまで『米国小売業の10年前のトレンドを追いかけている』といわれてきた国内の小売業も迅速にDXを進めている」と概観した。

DXを展開するマイクロソフトの顧客企業(一部)※出典:マイクロソフト[クリックして拡大]

資生堂はAzureで「クラウドファースト」実現予定

 説明会ではマイクロソフトの製品やサービスでDXを進める消費財製造業の企業として、資生堂の事例を取り上げて紹介した。

 資生堂は中期経営計画「WIN2023」の中で、2030年までに「社会から信頼されるビューティー企業」としてのポジションを獲得し、消費者の肌や体内データから個々人に合わせた商品を提供する「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY」になると目標を掲げている。このために現在、同社は「生産領域のモダン化」「顧客と従業員向けのDX推進」「グローバルでのIT最適化」の3領域に関するITシステム変革に取り組んでいる。

 生産領域のモダン化については、基幹システムとして「SAP S/4」とMES(Manufacturing Execution System)を導入して、社内の生産システム標準化と、IoT(モノのインターネット)の活用推進を目指す。顧客と従業員向けのDXについては、まず顧客に対してはOMO(Online Merges with Offline)やオムニチャネルを活用した新しい顧客体験の創出を目指す。次に従業員に対しては、デジタルワークフローを活用した業務変革や、オンライン会議ツール「Teams」や社内SNSなどを利用した社内コラボレーションの促進、研究開発分野でのデジタル技術活用などを進める。グローバルでのIT最適化においては、グループ全社の基幹系システムを3年以内にSAP S/4へ移行する他、マスターデータの管理のため「SAP Master Data Govermence」を導入する計画がある。

 これらのシステムを資生堂は、可能な限りAzure上に構築してクラウド化を進める計画だ。同社 執行役員 CITOの高野篤典氏はマイクロソフトについて、「当社のデジタル戦略においてはAzureが必要だが、これを利活用するための多様なスキルセットを有するエンジニアがマイクロソフトには多数在籍しており、この点を評価している。当社のデジタル戦略に伴走してもらいながら、目標実現に向けた取り組みを続けたい」と語った。

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