cocoboのデザイン検討は、SECOM DESIGN FACTORYの下、znug designの根津氏、ロフトワークとともに進められた。ロボットが珍しかった過去の警備ロボットは、その役割を体現した、分かりやすく記号的なデザインが用いられていたが、ロボットの存在が身近になった現在においては、公共空間に調和する自然な存在感と、警備の安心感を与える凛としたデザインが重要であると考え、「威圧しない」と「威厳がある」の両方を追求したデザインを目指したという。
セコムの戦略的な協働プロジェクトブランド「SECOM DESIGN FACTORY」の下、znug designの根津孝太氏、ロフトワークとともにcocoboのデザインの方向性を作り上げた。セコムは以前から付き合いのあったロフトワークを通じて根津氏に参画を打診したという ※出典:セコム [クリックで拡大]「デザイナーはどうしても手癖で絵や形状を描いてしまうことがある。しかし、今回は非常に丁寧に、何もない所から形を考えるというプロセスを経てデザインを検討したことで『環境に調和し、威圧はしないが威厳がある』という今までにない存在感、1つの答えにたどり着くことができた」(根津氏)
まず、「威圧しない」という観点でcocoboのデザインを見てみると、全体に曲線を多用した柔らかなフォルムとなっていることが分かる。こうすることで優しさや、威圧しない印象を引き出しているという。また同時に「威厳がある」という視点でcocoboのデザインを確認してみると、“台形”のシルエットように低重心で安定感のある姿勢が見て取れる。「これにより頼れる存在感をcocoboの全身で表現している」(根津氏)。
そして、再び「威圧しない」のデザイン表現として、cocobo本体の両側の外装部がカスタマイズ可能であることが挙げられる。外装部の色や素材感を変えることで利用環境に合わせ、調和を促進するような働きが得られる。さらに再び「威厳がある」の観点では、cocoboの機能を実現する各種センサー/カメラを本体の中心に合理的にレイアウトすることで、“芯”を感じさせるデザインとした。
この点について、根津氏は「cocoboは、非常にたくさんのセンサー類を搭載している。センサー自体のレイアウトはもちろんのこと、センサーの視野(FOV)も考慮する必要があるため、そこを邪魔せず、合理的にレイアウトしながらも、それを『センサー都合でデザインしたもの』と見せずに、cocoboらしい“たたずまい”に落とし込む必要があった。そのため、設計担当者とmm単位での調整を何度も繰り返した。“たたずまい”というものは、完成してしまうと『ああ、そうだね』となってしまうが、本当にたくさんの関係者の努力があってようやく作り上げることができた。ぜひそういう視点でcocoboを見てくれたらと思う」と説明する。
なお、cocoboのロゴデザインについても、優しく包み込む様子をモチーフにしたシンプルで印象的なデザインとし、「SECOM」のロゴの“CO”と、cocoboのロゴの“co”を同じ印象で構成したとしている。
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