威圧しない、威厳がある――セコムの新型警備ロボット「cocobo」のデザイン思想デザインの力(1/2 ページ)

セコムは、新開発のセキュリティロボット「cocobo」を発表した。各種センサーやカメラなどを搭載した自律型警備ロボットで、AI、5Gといった先端技術を活用した巡回警備や点検業務が行える。「公共空間との調和」「威厳と親しみやすさ」を開発コンセプトに掲げ、znug designの根津孝太氏、ロフトワークとともにデザインした。

» 2021年06月14日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 セコムは2021年6月10日、新開発のセキュリティロボットに関する記者説明会を開催。各種センサーやカメラなどを搭載し、AI(人工知能)や5Gといった先端テクノロジーを活用した巡回警備、点検業務が行える自律型ロボット「cocobo(ココボ)」を発表した。

セコムが開発した新型セキュリティロボット「cocobo」 セコムが開発した新型セキュリティロボット「cocobo」 ※出典:セコム [クリックで拡大]

 主に商業施設やオフィスビルなどでの利用を想定し、常時警備とのセット運用を前提とした提供となる(セコム以外の警備会社でも利用可能)。同年6月から国内の複数施設での先行運用と量産を開始し、同年冬をめどに販売開始する予定である。

 cocoboの開発コンセプトは「公共空間との調和」と「威厳と親しみやすさ」。セコムの戦略的な協働プロジェクトブランド「SECOM DESIGN FACTORY」の下、znug designの根津孝太氏、ロフトワークとともにcocoboのデザインを作り上げた。なお、cocoboというネーミングには“いつもココにいるロット”という意味と、“cognitive cooperation robot(認知と協働のロボット)”という意味合いが込められている。

新型セキュリティロボット「cocobo」の主な仕様と特長

 cocoboは最高時速6kmで走行可能で、連続走行時間は約3時間(走行可能距離:約12km)。充電時間は約3時間で、バッテリー残量に応じて自ら充電を行う自動充電機能を備える。屋内および屋外(雨天含む)での利用が可能で、傾斜10度までの坂道/スロープや悪路走行(約50mmの段差など)にも対応する他、障害物を検知しての衝突回避動作も行える。また、本体側面のLEDディスプレイや音声を使った災害情報の提供や施設案内なども可能である。

「cocobo」の主な仕様と機能について 「cocobo」の主な仕様と機能について ※出典:セコム [クリックで拡大]

 本体サイズは約700×1200×1250mmで、バッテリー搭載時の重量は160kg。搭載する各種センサー/カメラ類は、3D LiDAR(3Dレーザースキャナー)、2D LiDAR(2Dレーザースキャナー)、ステレオカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、超音波センサー、バンパーセンサー、PSDセンサー(光位置センサー)、熱画像センサー、ガスセンサー、全方位カメラ、PTZ(パン/チルト/ズーム)カメラとなる。

「cocobo」のシステム構成について(1)「cocobo」のシステム構成について(2) 「cocobo」のシステム構成について ※出典:セコム [クリックで拡大]

 最大の特長は、各種センサー/カメラと画像AIによる異常検知機能で、近くに所有者と思われる人がいない孤立した荷物(放置物)や倒れている人、刃物を持っている人などをcocoboが自ら検出し、Wi-Fi/LTE/5Gなどの無線通信を介して監視卓に通知する。その他、ガスセンサーと熱画像カメラによるガス/火災検知、大きな音や悲鳴などをマイクで検知して監視卓に通知する異常音検知を備える。また、オプションのセンサーアームを装備することで、人が入り込めないような場所の点検や熱源検知などが行える。その他、威嚇/カメラ照明用のヘッドライトや、威嚇用の発煙装置などもオプションとして用意する。

画像AIによる異常検知機能ついて 画像AIによる異常検知機能ついて ※出典:セコム [クリックで拡大]

 建物内の監視カメラ映像、エレベーターや電気錠などの設備情報、施設/地域の情報などをクラウドを介してcocoboと共有、連携することも可能だ。例えば、エレベーター情報と連携させることで、複数階の巡回にも対応できる。

設備情報やクラウドとの連携について 設備情報やクラウドとの連携について ※出典:セコム [クリックで拡大]
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