IDC Japanが「国内産業向け5G関連IT市場予測」など、ローカル5Gを中心とした調査結果について説明した。パブリック5Gやローカル5Gへの理解が進んでおり、2022年から産業向け5Gの実導入が始まるという共通認識が生まれつつあるという。
IDC Japanは2021年6月4日、オンラインで会見を開き、「国内産業向け5G関連IT市場予測」など、主にローカル5Gを中心とした調査結果について説明した。通信キャリアによるパブリック5Gサービスの提供が始まる以前の2019年11月の調査と比べて、2020年12月の調査ではパブリック5Gやローカル5Gへの理解が進んでおり、現時点では2022年から産業向け5Gの実導入が始まるという共通認識が生まれつつあるという。
国内の産業向け5G市場は、通信キャリアが提供するパブリック5Gサービス以上に、ユーザー企業などが自身で無線局を設置し免許を取得するローカル5Gに注目が集まっている。国内では2019年12月にローカル5Gの無線局免許の申請の受付を開始したが、それから1年後の2020年12月には利用可能な周波数帯が拡大したこともあり市場は活発になっている。IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は「屋外使用が可能な6GHz以下のサブ6帯が利用可能になって実証実験の実施数は増加している。活用が難しいといわれてきたミリ波帯も可能性が見いだされつつある。本命は、制御信号とデータ送信ともに5Gを用いる5G SA(Stand Alone)であり、2022年ごろから実導入が始まることは共通認識になっている」と語る。
実際に、IoT(モノのインターネット)機器サプライヤーに対して最も重要なネットワーク技術を1つだけ選んでもらう調査では、5Gを選んだのは2019年11月時点で26.0%だったが、2020年12月時点で36.5%まで増えており、5Gへの注目度が高まっていることを示している。
また、ユーザー側であるIoT機器バイヤーに同様の調査を行ったところ、パブリック5Gが2019年11月時点の15.0%から2020年12月時点で9.3%に下落する一方で、ローカル5Gは8.7%から12.3%に上昇した。また、無線LANが最も重要になると回答した企業については、19.0%から28.7%に増加している。これは「パブリック5Gのサービス開始前の時点では、5Gに対してユーザー側の期待が過度に高まったものの、2020年以降はパブリック5Gとローカル5G、ローカル5Gと無線LANの優劣の比較や使い分けの議論が多く行われるようになり、理解が深まったのだろう。このようなIoT機器バイヤーの意識の変化は、今後の導入増加につながるのではないか」(小野氏)としている。
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