なお、IoT機器バイヤーの考えるローカル5Gのメリットとしては、「データを自営網内に留めておける」「SIMカードによる接続デバイスの認証」などセキュリティ関連の項目を重視するという回答が多かった。小野氏は「このことを考えると、初期のローカル5G市場はオンプレミス型のニーズが高くなるだろう。5Gコアなどをクラウドで運用するクラウド型は、裾野拡大時に利用されることになるだろう」と説明する。
5G関連で支援を受けたいベンダーについての調査では、ローカル5G構築では通信キャリアに対する期待が集まった他、IT機器メーカーやIT系インテグレーターにインフラ構築からクラウドやエッジのアプリケーションに至るまでのワンストップ支援に対する期待が高いという結果になった。「国内の法制面では、通信キャリアはローカル5Gの無線局免許は取得できないことになっている。しかし、無線エリア構築に関する高いケイパビリティを有しており、ユーザー側としてはそこに対して大きな期待を持っているようだ」(小野氏)。
なお、5G活用を前提にしたITシステム(ネットワークを含む)構築/運用のためのITインフラストラクチャ、ソフトウェア、サービスに対するエンドユーザー支出が含まれる国内産業向け5G関連IT市場については、2020年時点では数十億円程度にとどまるものの、2027年までに年平均80.3%で成長し2106億円まで拡大する見込みである。小野氏は「国内産業向けという観点では、当初はローカル5Gでの導入が先行するが、徐々にパブリック5Gの比率も増えていく」と述べている。
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