東京2020組織委員会は、東京オリンピック・パラリンピックの表彰式で使用する表彰台、楽曲、衣装、メダルトレイを発表した。表彰台は“オリンピック・パラリンピック史上初の試み”として、消費者から回収した使用済みプラスチックを再生利用し、3Dプリンタで製作された。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は2021年6月3日、「東京2020 表彰式アイテム お披露目イベント」を開催し、同大会の表彰式(ビクトリーセレモニー)で使用される表彰台、楽曲、衣装、メダルトレイについて発表した。
いずれのアイテムも東京2020大会が掲げるコンセプトの1つ「持続可能性」への貢献を意識して作られたものだという。
中でも表彰台は“オリンピック・パラリンピック史上初の試み”として、市民参加型の「使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト〜みんなの表彰台プロジェクト〜」(以下、みんなの表彰台プロジェクト)で全国から回収された使用済みプラスチックを再生利用し、3Dプリンタを始めとするデジタル製造技術によって製作された。表彰台のデザインは、東京2020エンブレムのデザインを手掛けた美術家の野老朝雄氏が担当した。
みんなの表彰台プロジェクトでは、国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドオリンピックパートナーで、東京2020パラリンピックのゴールドパートナーでもあるP&GグループのP&Gジャパンが事業協力者として参画。全国のイオングループ(約2000店舗)や全国の学校(113校)などに回収ボックスを設置し、約9カ月間で表彰台全98台の製作に必要な24.5t(トン)もの使用済みプラスチック容器を回収した。
みんなの表彰台プロジェクトで回収された使用済みプラスチックは、海洋プラスチック(0.5t)と合わせてリサイクルプラスチックとして再生され、ペレット状にしたものを表彰台の材料として使用した。
野老氏がデザインした表彰台は、東京2020エンブレムのデザインコンセプトである「組市松紋」を立体化した複数のキューブで構成されており、その1つ1つを高速ペレット式3Dプリンタ群(3Dプラント)で製作した。ベースとなった東京2020エンブレムのデザインから3Dプリンタを活用した立体造形までの製作過程では、総括として慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏が、プロジェクトマネジャー兼ディレクターとして平本知樹氏が率いる製作チームが全面協力し、同大会に必要な全98台の表彰台を作り上げた(関連記事:3Dプリンタだから実現できた東京五輪表彰台プロジェクトとその先【前編】)。
なお、表彰台に取り付けられているオリンピック・パラリンピックのシンボル(五輪マーク)に関しても、東日本大震災の被災地に建てられた仮設住宅のアルミ廃材が活用されているという。
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