「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

国交省が“グリスロ”の手引きを公開、ゆっくり走る小さな移動サービスの普及目指すモビリティサービス

国土交通省は2021年5月25日、地方公共団体や事業者向けに「グローンスローモビリティの導入と活用のための手引き」を公開した。

» 2021年05月28日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 国土交通省は2021年5月25日、地方公共団体や事業者向けに「グローンスローモビリティの導入と活用のための手引き」を公開した。グリーンスローモビリティは時速20km未満で走行する電動車とそれを使った移動サービスを指す。自宅から駅・バス停、公共交通機関から目的地までなどのラストワンマイルの生活交通や、景色を楽しむ観光交通としての活用を見込む。地域交通の脱炭素化にも貢献するとしている。

 同省では2018年度からグリーンスローモビリティ活用検討のための実地調査を実施してきた。調査などを通じて蓄積した知見をもとに検討会を設置し、グリーンスローモビリティの導入と活用の検討において必要なポイントや注意事項などを整理し、手引きとしてまとめた。グリーンスローモビリティの特徴や地域課題への有効性の理解、サービス内容や運営体制、ドライバーの検討、必要なインフラ整備、運営時の安全対策まで、手引きでは導入に向けた流れをカバーした。

 グリーンスローモビリティには3つの政策コンセプトがある。1つは従来の公共交通ネットワークを補完する小規模な移動サービスであること、2つ目は、ドライバーや乗客、乗客と歩行者など地域のコミュニケーションを促進すること、3つ目は外出支援や地域のにぎわいの創出、観光客の満足度向上、地域の見守りなど移動の副次的な効果の創出だ。

グリーンスローモビリティが活用される場面(クリックして拡大) 出典:国土交通省

 車両としては、軽自動車や小型自動車、普通自動車などさまざまなタイプを想定している。バスやタクシーの事業者での導入のほか、自家用有償旅客運送、運送の対価を求めない無償運送やボランティア輸送などを想定している。持続的なサービスにするには、導入目的の明確化や収益構造の検討、地域に合わせた運営体制、住民や関係者をサポーターとして巻き込むなどの取り組みが重要だとしている。

グリーンスローモビリティとして想定される車両と、付加価値(クリックして拡大) 出典:国土交通省

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