2020年度の新車生産、各社が受けた新型コロナのダメージは自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

» 2021年05月11日 06時00分 公開
[MONOist]
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ダイハツ

 国内外で明暗が分かれたのがダイハツだ。2020年度のグローバル生産は、前年度比18.4%減の139万5066台と5年ぶりに前年実績を下回った。

 国内では、11月に発生した樹脂バックドアなどの調達先であるエイエフティーの工場火災により、本社工場と滋賀第2工場で11月16日から約2週間生産停止に追い込まれた。ただ、「ロッキー」とトヨタ向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ライズ」の小型SUV兄弟が販売好調で、年度トータルの登録車生産は前年度比1.9%増で過去最高を更新した。台数ボリュームの大きな軽自動車のマイナスが響き、国内生産トータルでは同5.1%減の91万7558台と5年ぶりの前年割れとなった。

 比較的好調だった国内に比べて深刻なのが、インドネシアとマレーシアに生産拠点を構える海外事業だ。2020年度の海外生産は前年度比35.8%減の47万7508台と2年連続で前年実績を下回った。海外生産の減少幅は三菱自に次ぐ大きさで、改めて東南アジア市場の回復遅れを示す結果となった。なかでもインドネシアは同51.9%減と半減した。

 欧米に比べて低迷が続いていた東南アジアもここにきてようやく回復の兆しを見せ始めた。ダイハツの3月単月の海外生産は前年同月比14.7%増の6万3679台で、13カ月ぶりにプラスへ転じた。インドネシアは依然として減少傾向が続いているものの、マレーシアは復調している。国内生産も好調で、同11.9%増の10万1253台と3カ月ぶりにプラスへ転じると同時に3月の国内生産として過去最高を更新した。軽自動車が同25.3%増と好調で、新型車「タフト」の純増が貢献した。その結果、グローバル生産台数も同13.0%増の16万4932台と3カ月ぶりに前年実績を上回り、3月の過去最高記録となった。

三菱自

 2020年度実績で8社の中で最も厳しい結果となったのが三菱自だ。2020年度のグローバル生産台数は、前年度比39.1%減の81万3829台と2年連続で前年実績を下回った。国内生産は同40.9%減の36万6772台で2年連続のマイナス。国内販売では2020年3月にフルモデルチェンジした「eKスペース」のプラス効果はあったものの、「eKワゴン」が同48.1%減、「デリカD:5」が同21.7%減、「エクリプスクロス」が同56.3%減、「アウトランダーPHEV」が同59.0%減など、主力モデルが軒並み低迷した。輸出も欧州が前年度比69.4%減、北米が同52.5%減と振るわなかった。

 海外生産も前年度比37.6%減の44万7057台と2年連続のマイナスだった。東南アジアでのCOVID-19感染拡大による経済低迷により、主要拠点のタイが同36.2%減と大きく落ち込んだ他、市場回復が進んだ中国も同24.1%減と厳しい結果となった。中国に生産拠点を構える5社の中で、唯一の前年割れだった。

 ダイハツ同様に三菱自も東南アジアで徐々に回復の兆しを見せている。3月単月の海外生産は前年同月比16.2%増の6万7324台と18カ月ぶりにプラスへ転じた。中国が同176.2%増と急増し、タイも同5.9%増とプラスを確保した。その一方で、国内は不調が続く。国内生産は同29.9%減の4万6467台と12カ月連続の前年割れ。国内販売は同8.0%増と増加したが、輸出が同40.0%減と低調で、特に欧州向けが半減した。その結果、グローバル生産は、同8.4%減の11万3791台と19カ月連続のマイナスだった。

スバル

 半導体不足の影響が深刻化しているのがスバルだ。3月単月のグローバル生産台数は、前年同月比22.2%減の6万9582台と3カ月連続の前年割れ。マイナス幅も8社で唯一2桁パーセント減と落ち込みが目立っている。国内生産は同20.9%減の4万8954台で3カ月のマイナス。海外生産も同25.2%減の2万628台と3カ月連続のマイナスで、半導体不足による国内外で実施した生産調整が響いた。なお、スバルは4月、5月も生産調整を計画しており、供給不足の状況がしばらく続くとみられる。

 2020年度のグローバル生産台数は、前年度比21.4%減の80万9895台と2年ぶりに前年実績を下回った。海外生産は同22.4%減の28万5159台と2年連続で減少した。海外唯一の自社工場である米国は、インディアナ州の外出禁止令により3月下旬から生産を停止し、5月まで大幅減となった。さらに10月以降はコンテナ不足による港湾の混乱で部品供給が滞り、生産調整を実施。2021年に入ってからは半導体不足による減産を続けており、米国市場での好調な販売に対して車両供給が追い付かない事態となっている。

 国内生産も前年度比20.9%減の52万4736台と2年ぶりに前年実績を下回った。新型「レヴォーグ」の受注は好調に推移しているが、COVID-19感染拡大や半導体不足による減産を余儀なくされており、これに伴い輸出も同20.3%減と低迷した。

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